著者
荒木 威 石川 善英 岡崎 仁 谷 慶彦 豊岡 重剛 佐竹 正博 三輪 梅夫 田所 憲治 日赤グリコアルブミン検査研究グループ
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.337-343, 2011 (Released:2011-06-08)
参考文献数
20
被引用文献数
1

2009年4月1ヵ月間の全国の献血者414,909人のグリコアルブミン(GA)値と性別,年代及びBMIとの関連を解析した.男女とも年代が上がるに従い,GA値16.5%以上の人の比率,平均GA値が上昇した.若年層の平均GA値は正常範囲内にあるが,BMIが高いほど低下した.30歳代以上では,BMIが低い群でも加齢とともに平均GA値は上昇し,BMIが高い群においては平均GA値及びGA値16.5%以上の比率が増加した.BMIが30以上の状態を続けると,30歳以降に糖尿病に移行する危険性が高いことが示唆された.一方,GA値16.5%以上の群では,普通体重・低体重が約6割を占め,普通体重以下でかつ献血可能な集団でも境界型が疑われる人が多く存在することが明らかとなった.献血時のGA検査は糖尿病の早期発見の機会を増やし,特定健診等でのHbA1cなどの糖尿病関連検査とともに糖尿病予防に有用な手段になると考えられた.
著者
西山 由加李 泉田 久美子 木下 美佐栄 古屋 伴子 吉浦 洋子 川島 博信 松永 彰 井手口 裕 田久保 智子 迫田 岩根 友成 洋子 佐藤 博行 清川 博之 田中 光信 高橋 順子 谷 慶彦
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.267-273, 2011 (Released:2011-09-09)
参考文献数
29
被引用文献数
1

58歳男性.脳出血のため当院救命救急センターを受診した.入院時,AutoVue Innova®のカラム遠心凝集法によるRh血液型検査で抗Dの反応が(3+)と通常より弱く,weak Dまたはpartial Dが疑われた.各種市販抗D試薬およびエピトープ特異的抗Dモノクローナル抗体を用いた精査では,partial DのカテゴリーDBTとほぼ同様の反応パターンを示した.Polymerase chain reaction-sequence specific primers法によるRHD遺伝子解析ではexon 5,6および7の増幅が認められず,更にcDNAのRHD遺伝子領域を直接シーケンス法にて分析したところ,RHD遺伝子のexon 5,6および7がRHCE遺伝子のexon 5,6および7に置換していることが確認された.以上より,本例は本邦でも珍しいpartial DのDBT-1(RHD-CE(5-7)-D)と同定された. カラム遠心凝集法での抗Dの反応は,試験管法に比べ強く反応することが多いので,カラム遠心凝集法で(3+)以下の凝集を示す場合は,weak Dやpartial Dの可能性を念頭におく必要がある.