著者
井上 明星 板橋 健太郎 濱中 訓生 井本 勝治 山﨑 道夫 坂本 力 岩井 崇泰 川上 光一 小林 久人 村田 喜代史
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.99-106, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
15

[背景]Fibromatosis colliは新生児の頸部腫瘤で斜頸の原因となる疾患である.過去に多くの画像所見が報告されているが,その画像所見は日齢に応じて変化する可能性がある.[目的] 本研究の目的はfibromatosis colliのUSとMRIの画像と検査時の日齢をと画像所見を検討し,その多様性を明らかにすることである.[対象と方法]対象は臨床的にfibromatosis colliと診断された13症例(M:F=6:7)である.超音波検査が12例に対して21検査(8例に1検査,1例に2検査,1例に3検査,2例に4検査),MRI検査が5例に対して7検査(3例に1検査,2例に2検査)が行われていた.USでは,長軸像における患側の胸鎖乳突筋の最大径,健側と比較した胸鎖乳突筋の輝度,筋束の不連続性,胸鎖乳突筋内の低輝度域,MRIでは胸鎖乳突筋の最大径,T2WIでの胸鎖乳突筋の高信号域のパターン(斑状またはびまん性),胸骨頭および鎖骨頭の腫大の有無を評価した.4例のUS,2例のMRIについて画像所見の推移を評価した.[結果]USが行われた12例中,胸鎖乳突筋の高信号を12例,筋束の不連続性を4例,胸鎖乳突筋内の低輝度を8例に認められた.MRIが行われた5例中,斑状高信号が2例,びまん性高信号が3例,胸骨頭の腫大が4例,鎖骨頭の腫大が1例に認められた.胸鎖乳突筋の最大径と検査時の日齢の間に有意な相関を認めなかった(R=0.111).USでの経過観察で,胸鎖乳突筋の輝度は4例中2例,筋束の不連続性は1例中1例,胸鎖乳突筋内の低輝度域は4例中2例で改善を認めた.[結論]Fibromatosis colliのUSおよびMRI所見は時間経過とともに変化すると考えられた.
著者
井上 明星 濱中 訓生 板橋 健太郎 井本 勝治 山﨑 道夫 坂本 力 八木 勇紀
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.793-798, 2013-09-15 (Released:2013-12-30)
参考文献数
10

症例は54歳の男性。30歳時にC型肝炎を指摘されたが放置していた。2時間前から徐々に増強する心窩部痛を主訴に来院した。血圧88/58mmHg,脈拍57/分であった。身体診察にて,心窩部に圧痛を認めた。血液検査では肝臓逸脱酵素および胆道系酵素の上昇と軽度のビリルビン上昇を認めた。腹部単純CTでは右肝管から総胆管内の出血を,造影後は肝右葉優位に多発する濃染腫瘤を認め,肝細胞癌破裂により生じた胆道出血と診断した。内視鏡的胆道内血腫除去を行い,心窩部痛の改善を認めた。さらに入院3日目に再出血予防および肝細胞癌の治療を目的として肝動脈化学塞栓術(transcatheter arterial chemoembolization: TACE)を施行した。症状は改善し入院24日目に退院となった。2か月後,5か月後に残存腫瘍に対してTACEを行ったが,7か月後に肝不全で永眠された。胆道出血の治療方針の柱は止血と胆道閉塞解除であり,出血速度に応じていずれを優先させるかを判断する必要がある。