著者
京 俊介
雑誌
中京法学
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.1-62, 2015-12-01
著者
京 俊介
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.19-32, 2016-12-20 (Released:2019-06-08)
参考文献数
38
被引用文献数
1

近年の日本における一連の厳罰化立法は,「法と秩序」の強化を求める市民感情に基づく民意が刑事政策に強く反映されすぎることを意味する「ポピュリズム厳罰化」現象と捉えられるのか。刑事政策に影響を与える政治的要因については,主に犯罪社会学の文脈で議論が蓄積されてきたものの,政治学的な分析が不足してきた。本稿は,政治学の観点から,近年の日本の厳罰化立法がいかなる政治的メカニズムで生じているかを明らかにすることを目的とする。本稿は,まず,イシュー・セイリアンスと政党間対立の2つの軸によって,刑事法学者が列挙した近年の厳罰化の立法事例を類型化することで,その全体的な傾向を把握する。そのうえで,分析対象期間内に複数の立法事例をもち,類型化の結果から詳細に検討すべき特徴をもつ2つの法律,すなわち,少年法と児童買春・児竜ポルノ禁止法について,その立法過程の追跡を行う。以上の作業を通じて,本稿は,日本の厳罰化の立法過程について「ポピュリズム厳罰化」論が説明するのは,一連の凶悪な少年事件を背景として成立した少年法の2000年改正など一部の「目立つ」事例に限られ,その他の多くは世論があまり関心をもたないなかで官僚制に実質的な政策形成が委任されている「ロー・セイリアンスの政策形成過程」の枠組みで捉えられる,「民意なき厳罰化」と特徴付けることのできる立法であることを示す。
著者
京 俊介
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.19-32, 2016

<p>近年の日本における一連の厳罰化立法は,「法と秩序」の強化を求める市民感情に基づく民意が刑事政策に強く反映されすぎることを意味する「ポピュリズム厳罰化」現象と捉えられるのか。刑事政策に影響を与える政治的要因については,主に犯罪社会学の文脈で議論が蓄積されてきたものの,政治学的な分析が不足してきた。本稿は,政治学の観点から,近年の日本の厳罰化立法がいかなる政治的メカニズムで生じているかを明らかにすることを目的とする。本稿は,まず,イシュー・セイリアンスと政党間対立の2つの軸によって,刑事法学者が列挙した近年の厳罰化の立法事例を類型化することで,その全体的な傾向を把握する。そのうえで,分析対象期間内に複数の立法事例をもち,類型化の結果から詳細に検討すべき特徴をもつ2つの法律,すなわち,少年法と児童買春・児竜ポルノ禁止法について,その立法過程の追跡を行う。以上の作業を通じて,本稿は,日本の厳罰化の立法過程について「ポピュリズム厳罰化」論が説明するのは,一連の凶悪な少年事件を背景として成立した少年法の2000年改正など一部の「目立つ」事例に限られ,その他の多くは世論があまり関心をもたないなかで官僚制に実質的な政策形成が委任されている「ロー・セイリアンスの政策形成過程」の枠組みで捉えられる,「民意なき厳罰化」と特徴付けることのできる立法であることを示す。</p>
著者
京 俊介
出版者
JAPANESE POLITICAL SCIENCE ASSOCIATION
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1_257-1_278, 2009 (Released:2013-02-07)
参考文献数
30

This article analyzes a policy-making process for revised Japanese copyright law to add provision for computer software. The policy outcome of this process had been made through the conflict between the Agency for Cultural Affairs and the Ministry of International Trade and Industry. The paper describes the conditions under which administrative conflicts, as a result of attempts to control new policy areas, arise and are settled. Previous research shows that such conflicts are viewed as administrative competition for additional resources. In order to modify this understanding, by introducing “autonomy” and “vigor,” the author argues, as previous studies have shown, that conflicts between both agencies pursuing vigor tend to lead to deadlocks and need arbitrators (e.g. politicians) to provide resolutions. Conversely, conflicts between agencies pursuing vigor and ones pursuing a degree of autonomy tend to be resolved without such arbitrators as policy outcomes satisfying both interests arise when the agencies’ goals are different.