著者
谷口 明日香 丸山 里菜 京極 奈美 渡辺 裕子 飯村(久松) 裕子 長尾 慶子 小林 理恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.157, 2017 (Released:2017-07-08)

【目的】近年、雑穀粉の健康機能性に注目が集まっているが、これらはグルテンを形成しないため、調理への利用用途は限定的である。しかし、小麦粉のグルテン形成を抑制しながら揚げ加熱する天ぷら衣には利用の可能性が高い。そこで、小麦粉以外に天ぷら衣として利用例がみられる主穀のうるち米粉・もち米粉と共に、雑穀の大麦粉・ソバ粉・ハトムギ粉を用いた天ぷら衣の力学特性並びに外観及び吸油量とから客観的に嗜好性を評価した。【方法】各穀物粉15 gに、小麦粉の粘度と同程度となるよう加水し、バッターを調製した。これを直径30㎜×高さ10㎜のシリコンカップに2.0mLずつ分注し180±5℃に熱したキャノーラ油600 mLにカップごと投入して140秒間揚げ加熱した。各揚げ衣は1分放冷後、重量、表面色(L*, a*, b*値)、破断強度を測定した。また、各揚げ衣5 gに付着した油を石油エーテルで抽出後、40℃で蒸留して吸油量を測定比較した。【結果】揚げ衣の圧縮初期の応力及び微分値を比較すると、その硬さはうるち米粉・ハトムギ粉>大麦粉>ソバ粉となり、うるち米粉、ハトムギ粉、ソバ粉は小麦粉に比べて吸油量が少なかった。雑穀粉の揚げ衣の色は、主穀粉に比べて暗褐色であったが、特にソバ粉では濃い灰褐色を呈していた。天ぷら衣は淡黄色でもろく軽い仕上がりが望ましいことから、雑穀の大麦粉及びハトムギ粉は天ぷらの衣として小麦粉と代替えできる可能性が高い。