著者
中津川 かおり 喜多 記子 植草 貴英 田代 直子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成16年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.62, 2004 (Released:2004-09-09)

[目 的]米粉を主原料とした麺には、中国のビーフンやベトナムのフォーが代表的である。一般に諸外国で普及している米粉麺は、アミロース含量の高いインディカ米を主原料とし、独特のコシと歯ごたえを有するのが特徴である。そこで、ジャポニカ米の中でもアミロース含量が約20%のうるち米を用いた米粉麺の調製条件の検討とテクスチャーの改良並びに米の第一制限アミノ酸であるリジンの補足効果を目的として実験を行った。<BR>[方 法]インディカとジャポニカ種の精白米各々を一晩浸漬後ミキサーで粉砕し、50%米粉液を調製した。これを5倍希釈し、攪拌加熱(75_から_90℃)したゾルの流動特性をE型粘度計により測定した。またDSC及び光学顕微鏡観察により糊化特性を比較検討した。次いで各々の50%米粉液を65_から_75℃で半糊化させ、製麺後、蒸し加熱し、力学的測定と官能評価を行った。さらにジャポニカ種の品質改良のためタピオカ澱粉を添加した試料並びにアミノ酸の補足効果のため豆乳を添加した試料についても同様の測定を行った。<BR>[結 果]ジャポニカ種米粉ゾル(90℃加熱)は、高粘度でチキソトロピー性が顕著であった。DSC及び光学顕微鏡観察の結果、インディカ種の糊化温度がより高いことを確認した。タピオカ澱粉添加のジャポニカ種米粉ゾルはチキソトロピー性が低下し、豆乳添加では増大した。何れもCasson解析で降伏値の増大を確認した。米粉麺においてジャポニカ種は軟らかく、付着性が高く、官能検査での評価が低かったが、タピオカ澱粉や豆乳添加により無添加麺よりも総合的に高い評価を得た。(尚、演者は東横学園女子短期大学非常勤講師であり、実験は東京家政大学調理科学研究室の協力の基に行った。)
著者
喜多 記子 中津川 かおり 植草 貴英 田代 直子 HA Tran thi 長尾 慶子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.261-267, 2006-05-15 (Released:2007-05-15)
参考文献数
15
被引用文献数
6 3

ジャポニカ米を主原料とした米粉麺の調製法の確立と,嗜好的に好まれるジャポニカ種米粉麺のテクスチャーの改良を目的に,副材料の添加を検討した結果,以下のような知見が得られた.(1)DSC測定,顕微鏡観察および流動特性測定より,ジャポニカ種の糊化温度はインディカ種よりも低く,高温域で澱粉の膨潤,崩壊によってゾルの粘性が増した.(2)インディカ種は米粉液を75℃,ジャポニカ種は同65℃まで加熱することで,麺の調製を可能にした.(3)ジャポニカ種加熱麺はテクスチャー及び力学試験結果より付着性が高く,軟らかいため,予備実験として行った官能評価の結果からもインディカ米の麺と比較して低い評価であった.(4)ジャポニカ麺のテクスチャー改良のため,タピオカ澱粉を添加した麺は,硬さ,付着性が改良され,官能評価では,ジャポニカ米のみの麺よりも高い評価を得た.(5)ジャポニカ米に豆乳を添加した麺は,力学試験や官能評価では有意な差は認められなかったが,精白米の制限アミノ酸(リシン)の補足効果が得られるため,栄養面と共に食味,食感などの品質の改良が今後の課題となる.
著者
佐藤 久美 粟津原 理恵 原田 和樹 長尾 慶子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.323-330, 2011 (Released:2014-05-16)
参考文献数
28
被引用文献数
2

我々は和食献立の抗酸化能を高める食事設計法を具体的に提案することを目指し,料理に用いる素材や調理法を変化させながら料理および食事献立単位での抗酸化能を評価し,各種料理における最適条件を検討した。測定にはケミルミネッセンス法を用い,ペルオキシラジカル捕捉活性能をIC50値として算出した。その結果,鶏つくねでは電子レンジ加熱法が,きんぴらごぼうでは水浸漬なしのゴボウを用いる方法が,味噌汁では鰹一番だしと赤味噌の「基準味噌汁」に抗酸化能の高いナスを添加する方法が,それぞれ抗酸化能を高める料理と決定した。それらに[主食]の玄米飯と[副々菜]のホウレンソウの白和えを組み合わせた1汁3菜のモデル献立にすると,他の組み合わせ献立に比べ抗酸化能が有意に高くなった。抗酸化能の高い料理を工夫し組み合わせることで,酸化ストレスに対応する理想的な和食献立として提案できることが明らかとなった。
著者
永塚 規衣 大野 隆司 大川 佑輔 松下 和弘 仁科 正実 峯木 眞知子 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.360-365, 2004-11-20
参考文献数
10
被引用文献数
3

煮こごりを始めとするゼラテン料理に加えられるアルコール量のゲル化に及ぼす影響をみるために低濃度から高濃度(1%,3%,5%,10%,20%)まで変化させたアルコール添加ゲルを調製し,動粘度モニタリングシステム,旋光度,動的粘弾性,レオメーターによる力学特性及び^<17>O-NMRのスピン-格子緩和時間(T_1)の測定,電子顕微鏡によるゲル内部の組織観察を行い,得られた結果を以下にまとめた。(1)アルコール添加濃度が高濃度になるほどゼラチン分子のゲル化特性(ゲル化温度,旋光度,粘性率及び弾性率の低下)に影響を及ぼし,初期の架橋形成も遅れることが示唆された。つまり,高直度のアルコール添加はゲル化が阻害されることが明らかとなった。(2)10%以上の高濃度アルコール添加ゲルの物性は,表面はゴム状の延性的性状を有したが,(1)の結果から内部は網目構造の少ない口どけの早いゲルを形成すると推測された。(3)ゾルのNMR測定及びゲル内部の組織観察から,10%以上の高濃度アルコール添加はアルコールと溶媒の水との相互作用により,ゼラチン分子の網目形成が阻害され,ネットワークの少なく組織構造の変化したゲルを形成することが認められた。
著者
永塚 規衣 大野 隆司 大川 佑輔 松下 和弘 仁科 正実 峯木 眞知子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.360-365, 2004-11-20
参考文献数
10
被引用文献数
3

煮こごりを始めとするゼラテン料理に加えられるアルコール量のゲル化に及ぼす影響をみるために低濃度から高濃度(1%,3%,5%,10%,20%)まで変化させたアルコール添加ゲルを調製し,動粘度モニタリングシステム,旋光度,動的粘弾性,レオメーターによる力学特性及び^<17>O-NMRのスピン-格子緩和時間(T_1)の測定,電子顕微鏡によるゲル内部の組織観察を行い,得られた結果を以下にまとめた。(1)アルコール添加濃度が高濃度になるほどゼラチン分子のゲル化特性(ゲル化温度,旋光度,粘性率及び弾性率の低下)に影響を及ぼし,初期の架橋形成も遅れることが示唆された。つまり,高直度のアルコール添加はゲル化が阻害されることが明らかとなった。(2)10%以上の高濃度アルコール添加ゲルの物性は,表面はゴム状の延性的性状を有したが,(1)の結果から内部は網目構造の少ない口どけの早いゲルを形成すると推測された。(3)ゾルのNMR測定及びゲル内部の組織観察から,10%以上の高濃度アルコール添加はアルコールと溶媒の水との相互作用により,ゼラチン分子の網目形成が阻害され,ネットワークの少なく組織構造の変化したゲルを形成することが認められた。
著者
赤石(喜多) 記子 五月女 まりえ 小林 愛美 山下 美恵 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.153-162, 2011-04-05
被引用文献数
2

スペルト小麦粉にレーズン,麹,ヨーグルトより得た発酵液を添加したドウ及びパンを作り,物性面,機能面,嗜好面から検討した。・麹発酵液添加ドウは[ストレート法]よりも[中種法]で調製した方が,グルテンの伸展性が低下し,パンの膨化性が悪く,破断エネルギーが高値を示した。・ヨーグルト発酵液添加ドウは[ストレート法]よりも[中種法]で調製した方がパンの比容積は上昇し,破断エネルギーは低値を示した。・走査型電子顕微鏡観察よりパン内部の気泡状態は物性に影響を及ぼすことが明らかとなった。・ドライイーストパンよりもこれら発酵液添加パンの抗酸化性は高く,官能評価でもレーズン,ヨーグルト発酵液添加パンの嗜好性は高かったことより,パンに食品素材由来の発酵液を添加することの有用性が認められた。
著者
宮下 朋子 長尾 慶子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.725-732, 2013 (Released:2014-11-20)
参考文献数
33
被引用文献数
1 2

This study examined the effects of different amounts of air bubbles on the properties of and preferences for prebaked French meringue. The study also explored the suitability of baked meringue in a liquid form as a dysphagia diet. The texture of the prebaked meringue sample corresponded to Level Ⅱ or Level Ⅲ of the approved criteria for a dysphagia diet. The apparent rupture stress of the prebaked meringue with a 7-minute whipping was the smallest. The baked meringue in liquid form corresponded to Level Ⅲ of the approved criteria. A sensory evaluation of the baked meringue sample in liquid form was rated with the highest score. This study demonstrates that it was possible to prepare prebaked and baked meringue samples as a dysphagia diet by controlling the amount of the air bubbles contained in the meringue by the whipping time.
著者
長尾 慶子 加藤 由美子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.677-682, 1988-07-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

コロッケの破裂の機購および破裂を防ぐ揚げ条件を設定することを目的とし, 乾燥マッシュポテトを用いて加水量を変えたコロッケを調製, 実験し以下の結果を得た.1) コロッケの破裂は水分量および揚げ温度, 依存し, 水分が少ないほど, また揚げ温度が高いほど破裂しなかった.2) 油温200℃で揚げたときの, コロッケ破裂時の表層部 (1 mm 内側) 温度, 2 mm, 5 mm 内側および中心部温度は 118, 70, 40 および 22 ℃ であり中心部はほとんど変化がなかった.3) 破裂はコロッケの外皮付近で起きており, いずれの試料も表層部温度は100℃ 以上で破裂した.4) コロッケ外皮の破断強度は, 高水分試料のほうが小さく, また油温が高いほうが大となる傾向にあった.5) 破裂しやすい高水分試料の表層部を, 破裂の起きにくい低水分試料でおきかえると破裂は防止できた.6) 破裂は表層部の蒸気圧と皮の強度が関与している.
著者
小松 あき子 原田 和樹 遠藤 伸之 永塚 規衣 長尾 慶子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.128-136, 2011-04-05
参考文献数
18
被引用文献数
8

本学調理科学研究室で調製した"塩漬""味噌漬""すんき漬"と市販漬物数種の品質ならびに機能性を検討した。漬物の品質は色差測定,pH測定,塩分濃度測定ならびに破断強度測定により評価し,機能性には抗酸化力の指標として「化学発光法」,「ORAC法」および「HORAC法」により評価した。<br>その結果,各野菜漬物の重量,色差および破断歪率は経時的に変化し, pHは塩漬ではpH4~6,味噌漬ではpH5.2付近を示した。また,塩漬野菜の漬け液,"味噌漬""すんき漬"は高い抗酸化力を示し,特に発酵漬物である"すんき漬"は高いペルオキシラジカルおよびヒドロキシルラジカル消去活性を有していることが明らかとなった。市販漬物においても発酵漬物である"すぐき漬"や"高菜漬"は高い抗酸化力を示した。
著者
長尾 慶子 横川 知子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
調理科学研究会
雑誌
調理科学
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-30, 1994
被引用文献数
2

ハードドーナツの揚げ加熱中に生じる亀裂について、亀裂の発生部位、亀裂の程度(亀裂値)及び外観評価におよぼす材料配合及び放置温度の影響を知ることを目的とした。ドーナツの材料配合のうち、最も寄与の大きいと考えられる小麦粉重量を基準とした配合比を独立変数として統計解析を行い以下の結果を得た。1)小麦粉重量に対し砂糖、バターが多い配合は重量、体積共に増加が大であった。その傾向は低温試料の方が大であった。2)材料配合により上面部に亀裂の起きやすいものと側面部に亀裂の起きやすいものとにわかれた。小麦粉重量に対して砂糖、バター、牛乳の多い配合は上面の亀裂値が大となった。一方、砂糖と卵の多い配合は側面の亀裂値が小であった。3)ドーナツの外観評価には、ドーナツの亀裂の好ましさと均整の項目が大きく寄与しており、適度の大きさの亀裂の存在がドーナツとしてドーナツとして好ましい評価を与えていることが示された。特に、側面亀裂が0で上面に適度な亀裂のあるドーナツが好ましい評価を得た。4)砂糖、卵が多く、バターが少ない配合のものが外観評価の良いグループに判別された。
著者
成田 亮子 加藤 和子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.153, 2006

[目的]食事が多様化されるなかで、正月の雑煮として欠かすことのできない餅について、家庭における行事と餅がどのように受け継がれてきているかの摂取状況調査を行った。<BR>[方法]調査対象は、本学家政学部栄養学科並びに短期大学部栄養科に在籍する学生170名である。調査期間は、2004年5月から9月とした。<BR>[結果](1)鏡餅について:正月に鏡餅を供える家庭が82%、供えない家庭が18%であった。入手方法の内訳では、スーパーで購入が66%、家庭で作るが30%、米店・和菓子店で購入が4%である。また、鏡開き後の餅を食する家庭が75%であり、食べ方としては、汁粉など小豆を使用する料理が27%、次いで焼く(磯部巻き・あべかわ)が14%、雑煮(12%)、揚げ餅(10%)であった。その他にチーズ巻き餅、ピザ餅といった回答も少数みられた。(2)雑煮について: 100%の家庭において食されていた。餅の種類では角餅の餡なしが87%を占め、餅の加熱方法では焼いてから入れるが76%と多く、次いで茹でる(12%)、生(11%)、電子レンジ(1%)であった。(3)餅を食する機会:正月のみが35%であり、年間を通して20回以上食する家庭も25%と多い。その餅を常備している家庭が25%、必要に応じて購入する家庭が67%であった。(4)餅に対する嗜好・イメージ:餅が好きと回答した学生が92%と多く、好きな餅料理では、雑煮、磯部巻き、あべかわ、汁粉、納豆餅と和風料理が94%を占めた。その他に、バター海苔餅、チーズ巻き餅、ピザ餅、ピザ餅グラタン、キムチ餅、キムチ鍋などの洋風アレンジが5%みられた。学生に餅から受けるイメージ語を自由記述させると、'雑煮'、'正月'、'おいしい'が多く出現した。
著者
英 晴香 長尾 慶子 久松 裕子 粟津原 理恵 遠藤 伸之 原田 和樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】抗酸化能の高い中国料理の調製を目指し、今回は"紅焼白菜"をとりあげ、具材の魚介類ならびに野菜・キノコの種類を変えて抗酸化能をそれぞれ検討し、食材の組み合わせにより抗酸化能を高める調理法を見出し提案する。【方法】白菜の煮込み料理である"紅焼白菜"の魚介類として、タラ、サケ、ボイル済みカニ、および加工品のカニカマボコとチクワをとりあげ、抗酸化能をそれぞれ測定し、抗酸化能の高い魚介類を選定した。野菜類においても、白菜、キャベツの原種であるケールおよびキノコ三種(エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ)をとりあげ同様に抗酸化能を比較した。これらの結果をもとに、抗酸化能の高い食材に置き換えて作成した"紅焼白菜"をモデル料理とし、一般的な材料で作成した基本料理と比較した。各料理を凍結乾燥後、粉砕し、水および70v/v%エタノールで抽出し、測定に用いた。AAPHによりペルオキシラジカルを発生させ、化学発光(ケミルミネッセンス)法で活性酸素ペルオキシラジカルの捕捉活性を測定し、IC50値および抗酸化量値として求め、基本料理とモデル料理を比較した。【結果】カニの抗酸化能が他の魚介類に比べて有意に(p <0.05)高い結果となった。野菜では白菜に比べてケールの抗酸化能が特に高くなった。キノコの抗酸化能はエノキダケ>シイタケ>ブナシメジの順となった。結果をもとに魚介類はカニを用い、白菜の一部をケールに代替し、キノコはエノキダケに、さらに薬味のコネギとショウガを加えて調製したモデル料理の"紅焼白菜"では、基本料理に比べて抗酸化能が向上したことから、食材の組み合わせの工夫により嗜好性と健康面に配慮した大菜料理を提案できると判断した。
著者
三神 彩子 喜多 記子 松田 麗子 十河 桜子 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.300-308, 2009-10-20
被引用文献数
3

本研究では,現在の家庭での上位頻出献立10種類を取り上げ,調理機器や調理道具の選択,調理操作の違いによる省エネルギー効果およびCO_2排出量削減効果を計測した。トーストは,トースターに比べグリルは約30%,ベーコンエッグは,鉄製フライパンに比べテフロン加工フライパンで約44%,さらに油なし・水なしで調理すると約59%,コーヒーは,コーヒーメーカー方式に比べ,やかんを用いて湯を沸かすドリップ方式で約42%,チャーハンは,卵とご飯を混ぜ合わせてから一緒に炒める方法が他の方法と比べ約25%,ガスコンロでの炊飯は,電気炊飯器に比べて約39%,焼き魚は,グリルはテフロンフライパンに比べ約19%,さらに切り方の工夫で約18%,味噌汁は,煮干しを粉砕し丸ごと使用すると約38%,野菜の和風煮物は,油膜使用で約20%,落し蓋使用で約26%,青菜のおひたしは,青菜の3倍の茹で水量は6倍の茹で水量に比べ約16%,カレーライスは,ジャガイモの形状を小さく切ると約72%,さらに茹で水量を同重量にすると7倍水量と比べて約46%のCO_2排出量削減効果が得られた。
著者
宮下 朋子 長尾 慶子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.469-475, 2006-07-15
被引用文献数
1

ババロアの調製時の調理要領を明らかにするためのモデル実験として,ゼラチンゾルに混合する生クリームの起泡程度およびゼラチンゾルの混合温度を変え,粘度,破断特性,比重および気泡径分布の測定を行った.得られた知見を以下にまとめた.(1)ババロア調製時の,起泡生クリームへ混合するゼラチンゾル温度が18℃〜16℃の場合に,上下層の分離は見られなかった.(2)起泡程度別生クリームと品温別ゼラチンゾルの最大応力および粘度は,生クリームが6分立て(本実験ではStage 6)の場合,ゼラチンゾル温度18℃および16℃において両者の値が最も近似した.(3)(1),(2)より,6分立て(同Stage 6)の生クリームと,18℃および16℃のゼラチンゾルを混合した場合に,最も均質なババロアが得られることがわかった.
著者
長尾 慶子 久松 裕子 粟津原 理恵 遠藤 伸之 原田 和樹
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.324-334, 2013-10-05
被引用文献数
1

抗酸化能を高めた中国料理献立を立案するために,栄養・嗜好面に配慮した基本献立と食材や調理手法を変えて抗酸化能を高めたモデル献立の抗酸化能を評価した。その結果,大菜の煮込み料理の[紅焼白菜]では食材のカニ,ケール及びエノキタケを選択し,同じく 炒め料理の[木穉肉]では調味料の五分たまり醤油と甜麺醤に薬味のネギ,ショウガを選択した。[湯菜]ではだし素材の干し椎茸と鶏ガラにネギとショウガを加えて加熱した。甜点心の [杏仁豆腐]では,杏仁霜と牛乳で調製した寒天ゲルに,黒糖シロップと果物のブルーベリーを選択し,鹹点心の[餃子]ではキャベツを脱水せずに加え蒸し加熱する方法で,どの料理も抗酸化能を高めることができた。これらを組み合わせたモデル献立にして,数種の測定法で抗酸化を測定したところ,基本献立に比べて抗酸化能の有意に高い中国料理モデル献立として提案できることが示唆された。
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.211-218, 1994-03-15
被引用文献数
4

ドーナツの揚げ加熱中に生ずる亀裂発生のメカニズムについて,ハードドーナツを試料として実験及び考察を行い,以下の結論を得た.亀裂にはドーナツの上側に見られる上面部亀裂,ドーナツ側面部に見られる側面部亀裂,ドーナツリングの内側に発生する内側部亀裂の3種類がみられた.ドーナツの亀裂の機構は内部圧と外皮硬化部の亀裂時の強度(亀裂圧)との関係で説明できる.ドーナツの亀裂圧は,引張強度,ドーナツ各部の平均曲率,外側硬化部の厚みの測定値から算出した.一方,内部圧は体積歪と体積弾性率を求めることで得た.三種類の亀裂は,内部圧が各部の亀裂圧を上回った時に生じた.
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.523-527, 1991-06-15
被引用文献数
4

Potato croquette samples deep-fried in 180℃ oil were prepared after freezing at -20℃ or refrigerating at 5℃. The rupture level of these two kinds of croquette was compared with croquette prepared without cooling. For Croquette sample with the crust of 1 mm thick, the cooling process was effective in controlling the rupture. The cooling process delayed rise in the temperature in the surface layer of croquette during frying. Consequently, rise in the vapor pressure of the surface layer was reduced and the rupture was controlled. For croquette samples with the crust of 2 or 3 mm thick, little effect in controlling the rupture was seen with the refrigerating process. The mechanism of the rupture in refrigerated croquette was the same as the one without cooling. While freezing process was effective in controlling the rupture. However, the mechanism of the rupture seen in croquette of the 2 or 3 mm crust with the freezing process could not been explained by the mechanism of croquette without cooling. Thus, the new mechanism is needed to explain the rupture of croquette with freezing process.
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.373-377, 1989-05-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

衣を厚くしたコロッケの揚げ加熱中の破裂の機構に関して以下の結論を得た.1) 衣を2, 3, 4mmと厚くすると薄衣の1mm試料の場合にみられた表層部破裂は起こらず, コロッケ全体に縦 (長軸方向) に亀裂が入る全体破裂となった.2) 外皮の引張強さは, 経時的に増加した.2mm試料のほうが, 3および4mmの試料に比べて短時間で強度が大となった.破裂時の外皮の強度から推定した内部圧は, 2mm試料のほうがより厚い皮の試料に比べて有意に低かった.3) 厚衣の全体破裂は, コロッケ内容物体積が揚げ加熱中に温度上昇に伴い6.5~6.9%膨張することで, 約2~3N/cm2高まった内部圧を皮が抑えきれずに亀裂が起きて, 破裂するものであることが示唆された.