著者
人見 健文 池田 昭夫
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.365-370, 2014-12-01 (Released:2016-02-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

脳波記録に携わる技師は, 電極配置法, モンタージュ, 電極のタイプ, インピーダンス, フィルターの原理を理解した上で, 脳波計の設定や電極装着を行う必要がある。検査開始後は, 正常および異常の脳波, 賦活時の脳波変化などに注意しつつ脳波記録を行う。さらに近年普及したデジタル脳波計の特徴を生かして, Density modulated spectral array (DSA) の活用, あるいはモニター上で脳波記録中の表示に適切なモンタージュの切り換えを行い, リアルタイムでより適切な脳波活動の評価を行うことがのぞまれる。また検査技師も脳波の判読の過程と結果を積極的に活用して脳波判読医と互いの情報意識の共有を行う。判読者の立場も理解した上で脳波記録を行うことで, 総合的な脳波検査と判読の質的維持と向上がもたらされる。臨床発作時あるいは脳波上発作パターンが出現した場合には, 適宜医師および他の検査技師に連絡し対処する役割も求められる。
著者
下竹 昭寛 松本 理器 人見 健文 池田 昭夫
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.40-46, 2019-02-01 (Released:2019-03-08)
参考文献数
21

意識障害の患者において代謝性脳症は比較的よく遭遇する病態であり, 脳波はその診断と病勢の把握に有用である。代謝性脳症の脳波所見は, 意識障害の程度と関係して, 基礎律動・後頭部優位律動の徐波化や消失, 間欠的律動性または持続性高振幅の全般性デルタ活動, 三相波 (Triphasic wave) を呈する場合もある。三相波は, 陰–陽–陰の三相性からなる特徴的な波形で, 肝性脳症を含む代謝性脳症で認めることが多い。中毒の脳波所見の中に両側同期性の全般性周期性放電 (Generalized Periodic Discharges (GPDs) ) を呈するものがある。薬物関連では, 炭酸リチウム, テオフィリンなどが挙げられ, セフェピム脳症によるものも知られる。三相波/GPDsにおいては, 非けいれん性てんかん重積 (NCSE) の可能性についても常に念頭に置く必要がある。代謝性・中毒性脳症の脳波は原因検索に必ずしも特異的な所見を示すわけではないが, 特徴的な脳波所見を示す場合があり, また非侵襲的に早期から病態の客観的な評価が可能であり, 積極的に活用すべきである。
著者
人見 健文 陳 和夫 池田 昭夫 松本 理器 澤本 伸克 井内 盛遠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

【背景】良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)は、全身のてんかんと大脳皮質由来のふるえが主症状の疾患である。てんかんやふるえにおける睡眠・覚醒時の大脳皮質の興奮性変化は十分に分かっていない。【目的】BAFMEにおける睡眠覚醒の変化にともなう大脳皮質の興奮性変化を明らかにする。【方法】BAFME患者の脳波記録を解析し、てんかん性放電の睡眠・覚醒時の変化を検討した。【結果】時間当たりのてんかん性放電は軽睡眠・徐波睡眠・REM睡眠時では覚醒時に比べ減少した。【結論】BAFMEは、皮質興奮性の覚醒睡眠時の変容に関してBAFMEは進行性ミオクローヌスてんかんの一部と類似の挙動を示した。