著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

雪の融点近くで、短いモデル・スキー(長さ20cm)を用い、遅い滑走速度(0.001~1m/s)における摩擦係数を斜面滑走法およびトライボメータ法を用いておこなった。その結果、摩擦係数(μ)が、滑走速度と雪の温度に依存することが解った。そして、-10℃程度の低温で、速度が極めて遅い場合に最も小さなμ値を示す事を見出した。今回の実験結果で最も注目すべき点は、モデル・スキーの低速度における摩擦係数の温度依存性が、高速度で滑る実際のスキーの温度依存性と反対になった点である。また、モデル・スキーの摩擦係数に荷重依存性が測定されなかったことから、低温、低速度における小さな摩擦係数は摩擦融解による解け水の潤滑摩擦では無いと考えられる。すなわち、低温では凝着力が小さくなるために良く滑ると考えられる。
著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 斎藤 悟 阿部 修 香川 博之 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スキーの材料開発やワックスの使い方、スキー技術の理解に科学的裏付けを与える目的で、基礎科学的見地からスキー滑走原理を研究した。そのために、短いモデルスキーを用いて、静摩擦係数、低速度の動摩擦係数について、雪粒子の大きさ、雪表面の硬さなどの雪の条件をコントロールして温度依存性、速度依存性を厳密に測定した。その結果、実際のアルペンスキーよりは遅い滑走速度に関してではあるが、摩擦現象が、雪表面の擬似液体層を考慮した凝着力の温度依存性およびそれとは逆の温度依存性を示す雪のせん断応力により矛盾無く説明できる事が分かった。また、低速度でも実際のスキーやスケートで測定されている様な低い摩擦係数が実現するので、摩擦熱による融け水の生成などのような、良く滑るメカニズムを考える必要は無いことが明らかとなった。