著者
鳴海 裕行 今 充 阿保 優 高野 〓
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.275-280,365, 1973 (Released:2009-06-05)
参考文献数
17

肛門疾患に対する保存的療法の一つとして新しく開発されたゼロイドZeroidの臨床効果について検討する.これは長さ10cm,外径1.2cmのプラスチック製円筒状の器具で,中に冷却液が入っている.これを通常の冷蔵庫内で-4℃に凍結させ肛門部の局所的冷却を行なうものである.術前のもの30例,術後のもの20例,計50例に使用し,82.0%の症例に臨床症状の改善ないしは消失をみた.特に出血・疼痛に対して極めて有効であった.以上の詳細について述べるとともに,肛門疾患の保存的治療の一つとしてゼロイドは今後主要な地位を占めるものと予測するものである.
著者
森田 隆幸 橋爪 正 今 充 松浦 和博 山中 祐治 小野 慶一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.2431-2434, 1987-10-01
被引用文献数
13

昭和50年から60年までの大腸癌初回手術491例中, 70歳以上の高齢者は102例, 20.8% であった. 組織学的に高分化型腺癌が多く, stageI, II 症例が 49% を占め, 治癒切除例の累積5生率 72.8%, 相対5生率 75.5% と非高齢者と遜色ない手術成績が得られた. 直腸癌手術では排尿・排便に関する慎重な配慮が必要であるが, 高齢者大腸癌の手術適応とし, 生活意欲があり普通の生活をしている限り年齢自体での手術適応の制限はないと判断され, 根治性を計った標準術式の採用により良好な成績が得られると考えられた. また, risk の高い重症例でも麻酔法の工夫により原発巣切除を試みれば愁訴もとれ延命効果も期待できることが知られた.