著者
岡山 高秀 今井 利憲 伊藤 和彦
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.157-161, 1986

食肉の鮮度を保持させる目的で, 牛肉ロース部を(1) 70%エチルアルコール(Et. al.), (2) 3% L-アスコルビン酸(AsA)を含む70% Et. al., (3) 0.08% DL-α-トコフェロール(Toc)を含む70% Et. al.及び(4) 3% AsAと0.08% Tocを含む70% Et. al.の各溶液に20秒間浸漬した後, 10秒間付着溶液を滴下させた。なお, 無処理試料を対照とした。各試料は400ml容プラスチック容器内に静置し, 4℃の暗所に保存した。3,6,9及び13日後に各試料のMetMb生成量, TBA number, pH値, 揮発性塩基態窒素(VBN)量, 生菌数及び残存AsA量を測定した。その結果, MetMb生成量は(1)試料と対照は7日目に20%に達したが, (2)と(4)試料は保存期間中15%以下を維持した。TBA numberも(1)試料と対照は保存中直線的に上昇した。一方, AsAを含む(2)と(4)試料は保存期間中ほとんどTBAnumberは増加しなかった。VBN量は対照を除くすべての試料は保存期間中比較的低い値を示した。生菌数(Log/g)について対照は9日目に6.7に達したが, 他の試料は13日後も6.4∿6.8の範囲であった。(2)と(4)試料中の総及び還元型AsA量は保存期間中減少傾向を示したが, 13日後においても還元型AsAのわずかな存在が認められた。以上の検討からAsAを含むEt. al.への浸漬処理は生肉の保存性をかなり延長させることが示唆された。