著者
岡山 高秀 源 伸介 伊藤 和彦 近藤 健次郎
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.397-400, 1983-01-30

小売精肉用豚肉の肉色を良好に維持し, かつ脂質の酸敗を抑制するガス組成を見いだす目的で, 豚肉を80%CO_2+20%O_2,50%CO_2+50%O_2,20%CO_2+80%O_2及び100%CO_2に4℃で10日間貯蔵を行った。その結果, 80%CO_2+20%O_2及び50%CO_2+50%O_2に貯蔵した豚肉はMetMb生成量が低く, 貯蔵10日後においても好ましい肉色を保持できた。さらに80%CO_2+20%O_2貯蔵は50%CO_2+50%O_2試料に比べTBA numberの上昇を著しく抑制することが認められた。以上の結果から, 小売精肉用豚肉の肉色を良好に保ちしかも酸敗を抑制するガス組成として80%CO_2+20%O_2は大変有効であることが示唆された。
著者
岡山 高秀 今井 利憲 伊藤 和彦
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.157-161, 1986

食肉の鮮度を保持させる目的で, 牛肉ロース部を(1) 70%エチルアルコール(Et. al.), (2) 3% L-アスコルビン酸(AsA)を含む70% Et. al., (3) 0.08% DL-α-トコフェロール(Toc)を含む70% Et. al.及び(4) 3% AsAと0.08% Tocを含む70% Et. al.の各溶液に20秒間浸漬した後, 10秒間付着溶液を滴下させた。なお, 無処理試料を対照とした。各試料は400ml容プラスチック容器内に静置し, 4℃の暗所に保存した。3,6,9及び13日後に各試料のMetMb生成量, TBA number, pH値, 揮発性塩基態窒素(VBN)量, 生菌数及び残存AsA量を測定した。その結果, MetMb生成量は(1)試料と対照は7日目に20%に達したが, (2)と(4)試料は保存期間中15%以下を維持した。TBA numberも(1)試料と対照は保存中直線的に上昇した。一方, AsAを含む(2)と(4)試料は保存期間中ほとんどTBAnumberは増加しなかった。VBN量は対照を除くすべての試料は保存期間中比較的低い値を示した。生菌数(Log/g)について対照は9日目に6.7に達したが, 他の試料は13日後も6.4∿6.8の範囲であった。(2)と(4)試料中の総及び還元型AsA量は保存期間中減少傾向を示したが, 13日後においても還元型AsAのわずかな存在が認められた。以上の検討からAsAを含むEt. al.への浸漬処理は生肉の保存性をかなり延長させることが示唆された。
著者
岡山 高秀
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.333-337, 1984

小売用牛肉のガス充填包装に最も適したガス組成を見いだす目的で, 牛肉もも部を(1) 20%CO_2+40%O_2+40%N_2,(2) 20%CO_2+80%N_2,(3) 80%CO_2+20%O_2さらに(4)真空及び(5)空気(対照)環境下に4℃で13日間保存を行い, ガス組成, MetMb生成量, TBA値及びpHの変化を測定した。その結果, 各ガス充填試料は保存13日後も食用に適したが, 対照は9日目, 真空包装試料は13日後には明確な腐敗現象を示した。ガス組成(1)と(2)は保存期間中各ガス組成の変化は±2%以内に保持された。しかし, ガス組成(3)には6.6%N_2の混入が認められた。MetMb生成量はガス組成(1)試料は保存期間中低く13日後においても約20%であった。ガス組成(2)は保存9日目までMetMbは直線的に増加し約75%となったが, 13日後には40%以下へと減少した。ガス組成(3)試料は3日目までほとんどMetMbは生成せず, その後増加し13日後には約60%に達した。TBA値は対照及びO_2を含む試料(1)と(3)で比較的高く, 真空及びガス組成(2)試料において低い値が得られた。pHはすべての試料とも保存3日目には低下し, その後対照と真空包装試料は上昇したが, ガス組成(1)の13日後を除いて各ガス組成下の試料は保存期間中低いpHを維持した。以上の結果から, 牛肉のガス充填包装に関して6日以内の保存には真空包装で十分であり, 13日間以上の保存の場合は20%CO_2+80%N_2が有効であることが示唆された。