著者
今井 千文 野中 和賀樹
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.219-231, 2015-03

トラフグ属魚類Takifuguはフグ科Tetraodontidaeに属し,アジア太平洋の温熱帯海域に広く分布し,日本近海には約20種が知られている。内臓や皮膚にフグ毒テトロドトキシンを含有するが,筋肉は無毒または弱毒で食用種も多く,トラフグをはじめ,水産重要種が多く含まれる。一方で,商業価値の高いトラフグは強い漁獲にさらされ,資源量は激減していて,資源管理が急務である。資源管理の実施に際しての資源情報として成長モデルは重要である。本研究では,野外調査により得られたクサフグの耳石を計測することにより耳石の成長速度が一定であることを示し,耳石測定により年齢推定が可能であることを示した。耳石日周輪間隔を測定して,耳石成長速度の安定性を検証した。
著者
今井 千文 道根 淳 村山 達朗
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.91-97, 2014-03

キダイは北海道南部以南の日本周辺海域、東シナ海、黄海および南シナ海の水深100~200mの砂泥底域に生息し、全長35㎝程度まで成長するタイ科魚類である。産卵期は春~初夏と秋の年2回あり、春初夏発生群と秋発生群の2群が認められる。また、雌性先熟の性転換が起こり、性比は年齢とともに低下する。山口県下関漁港と島根県浜田漁港に在籍する2隻曳沖合底曳網漁船(以下では「日本海西部沖合底曳網」と略称する)が漁獲対象とする魚類資源の中で、漁獲量は最大級であり、最重要資源の1つである。キダイ日本海、東シナ海系群の資源動向については福若、依田が公表している。しかし、東シナ海のキダイ資源は中国および韓国漁船も利用しており、我が国の漁獲量資料だけでは全容を知るには不十分である。本研究では日本海西部沖合底曳網の水揚げ総計より得た年齢別漁獲尾数資料を山口、島根両県の小型底曳網第1種漁業による漁獲量で引き延ばしてコホート解析法により資源量計算を実施した。得られた年齢別資源尾数資料から再生産関係を解析し、加入量変動とその要因として重要な環境因子である水温との関係について考察する。
著者
今井 千文 酒井 治己 新井 崇臣
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.137-141, 2008-12

新潟、山形および秋田県の日本海流入河川にのみ生息するコイ科の希少種ウケクチウグイについて、隆海回遊の有無を確認する目的で、最上川下流域で採集された若齢魚を含む10個体および上流域産の産卵個体群6個体の耳石(礫石)のSr:Ca比を解析、比較した。全16個体のSr:Ca比は耳石核から縁辺まで低い値で安定していて、降海回遊の兆候は認められなかった。ウケクチウグイの保全策は、本種が降海しないことを前提に策定するべきである。
著者
今井 千文 酒井 治己 新井 崇臣
出版者
水産大学校
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.137-141, 2008 (Released:2011-07-26)

新潟、山形および秋田県の日本海流入河川にのみ生息するコイ科の希少種ウケクチウグイについて、隆海回遊の有無を確認する目的で、最上川下流域で採集された若齢魚を含む10個体および上流域産の産卵個体群6個体の耳石(礫石)のSr:Ca比を解析、比較した。全16個体のSr:Ca比は耳石核から縁辺まで低い値で安定していて、降海回遊の兆候は認められなかった。ウケクチウグイの保全策は、本種が降海しないことを前提に策定するべきである。