著者
酒井 治己 高橋 俊雄 古丸 明
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1-4, pp.109-121, 2014-03-31 (Released:2016-05-31)
参考文献数
54

Allozyme variability in the androgenetic freshwater clams Corbicula leana from Japan and the exotic C. fluminea were investigated. A total of 462 individuals of C. leana from 19 localities throughout the distribution range of the species were monomorphic at three allozyme loci as well as in purple inner shell color. Corbicula fluminea from three localities, on the other hand, was variable in shell color; with white, purple, white with purple flash, or deep purple examples. The present results suggest that they may include several clonal lines with different shell colors and allozyme genotypes. We discuss possible diversification of freshwater clams among bisexual species and hermaphroditic clones through clonal capture, genome capture, or ploidy elevation.
著者
土井 啓行 本間 義治 園山 貴之 石橋 敏章 宮澤 正之 米山 洋一 酒井 治己
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.87-89, 2014-03

日本沿岸には,フグ目ハリセンボン科は4属7種が生息するとされている。そのうち,メイタイシガキフグ属Cyclichthysは,棘長が眼径より短いこと,棘は不動で棘の断面は三角形から扁平状であること,尾柄部に棘がないこと,尾鰭軟条数が通常9本であること,及び各鰭に斑紋がないことなどで他属と区別されるが,日本沿岸からは世界全3種のうちメイタイシガキフグC. orbiculalis(Bloch)およびイガグリフグC. spilostylus(Leis and Randall)の2種が記録されている。これら2種は,前種が頭部に3根の棘を持つのに対し後種の頭部棘は4根であること,前種では体部背面と側面に黒斑が散在することに対し後種では腹面の棘の根元に瞳孔大の黒点があることで識別される。両種ともおもにインド・西部太平洋の熱帯・温帯の珊瑚礁や岩礁域に生息し,幼魚期には外洋で生活する。なお,最近地中海からも記録されているが,紅海からスエズ運河を通じての侵入者と見なされている。日本での採集例は少なく,メイタイシガキフグが佐渡島並びに伊豆半島以南,イガグリフグが富山湾並びに高知県以南より数例報告されていたのみであった。このたび,そのうちの1種イガグリフグ2個体が新潟県佐渡島地先で採捕され,下関市立しものせき水族館において飼育する機会を得た。これは日本沿岸からの稀な採捕例でもあり,しかも本種の北限記録と考えられるので報告する。
著者
酒井 治己 栗原 善宏 古内 友樹 岡田 あゆみ 竹内 基 柿野 亘 須田 友輔 後藤 晃
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3-4, pp.47-66, 2022-08-26 (Released:2022-08-26)
参考文献数
21

カムチャツカ・サハリン・千島・日本列島地域から記載されたカワシンジュガイ属 Margaritifera 担名タクサのタイプ標本を調査した結果,この地域を通して2種の存在が確認され,それぞれカワシンジュガイMargaritifera laevis(Haas, 1910)及びコガタカワシンジュガイM. kurilensis(Zatravkin & Starobogatov, 1984)に同定された。前種は前閉殻筋痕上縁が丸く擬主歯が比較的小さいこと,一方後種は前閉殻筋痕上縁が角張っており擬主歯が比較的大きく頑丈なことによって特徴づけられる。コガタカワシンジュガイにしばしば適用されてきたM. middendorffi (Rosén, 1926)は M. laevisの新参異名であると判断された。また,M. middendorffi の新参異名とされてきた M. togakushiensis Kondo & Kobayashi, 2005 は,M. kurilensis の新参異名と判断された。
著者
天野 翔太 酒井 治己
出版者
水産大学校
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.17-32, 2014 (Released:2018-07-18)
著者
酒井 治己
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.178-179, 2009 (Released:2014-03-05)
参考文献数
7
著者
今井 千文 酒井 治己 新井 崇臣
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.137-141, 2008-12

新潟、山形および秋田県の日本海流入河川にのみ生息するコイ科の希少種ウケクチウグイについて、隆海回遊の有無を確認する目的で、最上川下流域で採集された若齢魚を含む10個体および上流域産の産卵個体群6個体の耳石(礫石)のSr:Ca比を解析、比較した。全16個体のSr:Ca比は耳石核から縁辺まで低い値で安定していて、降海回遊の兆候は認められなかった。ウケクチウグイの保全策は、本種が降海しないことを前提に策定するべきである。
著者
今井 千文 酒井 治己 新井 崇臣
出版者
水産大学校
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.137-141, 2008 (Released:2011-07-26)

新潟、山形および秋田県の日本海流入河川にのみ生息するコイ科の希少種ウケクチウグイについて、隆海回遊の有無を確認する目的で、最上川下流域で採集された若齢魚を含む10個体および上流域産の産卵個体群6個体の耳石(礫石)のSr:Ca比を解析、比較した。全16個体のSr:Ca比は耳石核から縁辺まで低い値で安定していて、降海回遊の兆候は認められなかった。ウケクチウグイの保全策は、本種が降海しないことを前提に策定するべきである。
著者
酒井 治己 高橋 洋 松浦 啓一 西田 睦 山野上 祐介 土井 啓行
出版者
独立行政法人水産大学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ミトコンドリアDNA全塩基配列に基づき、フグ目の硬骨魚種中での系統類縁関係,フグ目内系統類縁関係,及びトラフグ属内系統類縁関係を明らかにした。さらに,AFLP解析によりトラフグ属主要9種の雑種解析を行なった。トラフグとカラスフグを除く各種は明瞭に識別でき、さらに複数マーカーによって雑種の判別も可能で、解析したほとんどの雑種個体(47個体中46個体)が雑種第一代であった。種判別の可能なAFLPマーカーに基づき、それを特異的に増幅するプライマー開発に向けて研究を継続中である。