著者
今井 千速
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.354-359, 2020 (Released:2021-02-16)
参考文献数
47

CAR-T細胞療法は,キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor: CAR)遺伝子により遺伝子改変した自己T細胞を用いるがん免疫療法である.CD19を標的とするCAR-T療法(tisagenlecleucel)は,再発・難治の急性リンパ性白血病において目覚ましい治療成績を示し,2017年8月に米国で,本邦でも2019年5月に保険診療として認可された.本稿では,CARの初期開発から臨床的成功に至るまでの歴史を概観する.さらにCAR-T細胞療法の共刺激シグナルによる治療成績の差異や,CAR-NK細胞療法の開発の歴史についても簡単に触れたい.
著者
笠原 靖史 今井 千速
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.211-219, 2021 (Released:2021-10-01)
参考文献数
59

膠芽腫は極めて速い増殖と強い浸潤性を併せ持ち,集学的治療によっても予後不良で新規治療の開発が待たれている.キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T細胞)療法は,モノクローナル抗体の抗原認識能力をT細胞へ付与する養子免疫細胞療法で,MHC非拘束性に強力な細胞傷害性を発揮する.近年,膠芽腫を対象としたCARが数多く報告され臨床応用が期待されている.本稿ではCARに関する基礎事項および造血器腫瘍での臨床使用に至る歴史につき紹介し,引き続き膠芽腫に対するCAR-T細胞療法の最近の発展につき概説する.