著者
寺沢 良夫 福田 陽一 鈴木 康義 森田 昌良 加藤 正和 鈴木 騏一 今井 恵子 高橋 寿 鈴木 富夫 関野 宏
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2137-2145, 1993-12-20
被引用文献数
6

1985年4月から1992年9月までの7年6ヵ月において,当院での血液透析症例1,556人に,腹部超音波検査(US)を行い,腎癌を36人(41胃癌)診断し,手術で組織学的に確認した.血液透析症例の腎癌の検出率は2.3%(43人に1人の割合)で,健常人発生の胃癌(当院健診センターで延27,933人のUS検査のうち22人の腎癌,0.079%)の29倍高頻度発生であった.36人の内訳は,萎縮腎発生15人,ACDK (acquired cystic disease of the kidney)発生18人,腎移植後の固有腎発生3人で,ACDKの8人が1側腎多発,5人が両側腎多発であった.腎癌の診断率はUS100%,CT68%,血管造影55%で血液透析症例における腎癌の診断にはUSが最も優れた検査法であった.