- 著者
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遠藤 裕子
斉藤 洋子
新山 泰子
吉田 ふみ子
新井 せつ子
久富 恵子
元村 千佳
西川 久美子
藤倉 良裕
宍戸 洋
吉田 太一
関野 宏
浅木 茂
- 出版者
- 社団法人 日本透析医学会
- 雑誌
- 人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.115-121, 1984-04-30 (Released:2010-03-16)
- 参考文献数
- 3
便秘は精神的, 肉体的に不快なものである. 食生活を制限されている透析患者では, 従来より便秘を訴えることが多く下剤服用者も多い. 私達は当院患者124名 (男70名, 女54名) を対象とし, 排便の状況, 下剤の使用状況などについて調査を行い, 「透析患者と便秘-現状と対策-」について検討した.下剤服用者と排便困難者を併せて便秘群とすると, 便秘群は52名 (男23名, 女29名) で全体の42%を占めた. 透析導入とともに便秘に陥った患者が多く, 水分制限, 除水等の影響が大きいものと思われる. 下剤は刺激性下剤の服用者が多く, 実際効果的であった. 下剤使用が常用量を越す人に対して, 偽薬を処方することにより服薬量の減量が可能であった. また, 便秘解消法のパンフレットを作成し, 社会活動の勧め, 生活指導, 腹部マッサージや指圧, 繊維性食品の食事指導などを行った. その結果, 下剤服薬が必要でなくなった人が13名, 減量できた人が21名みられた. 透析患者の便秘には除水, 水分制限, 消化管運動機能低下, 薬物および精神的要因など複合的成因の関与が考えられる.