著者
岸本 宗和 塩原 貫司 萩原 健一 今井 裕景 柳田 藤寿
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.931-939, 2012 (Released:2017-12-18)
参考文献数
27

1.セミヨン種ワイン発酵醪および醸造設備から乳酸菌を分離し,そのリンゴ酸分解能を検討した。前期醪から分離された22菌株中の18菌株に,後期醪から分離された24菌株すべてに,醸造設備から分離された10菌株中の1菌株,合計 43菌株にリンゴ酸の分解能が認められた。2.16S rDNAのPCR-RFLP解析および塩基配列解析の結果から,前期醪から分離されたリンゴ酸分解能を有する乳酸菌は,Lb. plantarumに,後期醪から分離された乳酸菌はO. oeniに,ワイナリー醸造設備から分離された乳酸菌はP. pentosaceusに分類される可能性が極めて高いことが示された。3.リンゴ酸分解率に及ぼすpHの影響について検討したところ,前期醪から分離された09Se-A1-4株はpH 2.9の条件下においても90%以上の高いMLF能を有していた。4.セミヨン種ブドウを原料とする小規模試験醸造において,09Se-A1-4株は速やかにMLFを生起し,さらには,クエン酸の消費が少ない特徴を有する菌株であることが認められた。