著者
小山 由 水本 旭洋 今津 眞也 安本 慶一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.44, pp.171-177, 2012-05-14
参考文献数
10

本稿では,大規模災害により3G通信が利用不可能になったエリアでの情報の収集および発信を可能にするため,Twitterにつぶやかれた安否情報をメッセージデータとして保持し,DTN (Disruption-Tolerant Networking)によるユーザ同士のすれ違い通信によって3G通信が利用可能なエリア(以後,通信可能エリア)までメッセージの中継を行うことを可能にするシステムを提案する.到達したメッセージはTwitterシステムに送信して被災地外のユーザにメッセージを閲覧可能にすると共にGoogle Person Finder等のインターネット上の災害データベースとも連携し,投稿されたメッセージを基に情報の自動登録,及び検索を可能にする.このシステムを実現する上での課題は,(1)最短時間で安否情報を通信可能エリアへ配送することと,(2)通信不可能エリアのどこかに存在する特定のユーザに,Twitterの返信メッセージを的確に,かつ最短に配送することである.これらの課題を解決するため,提案システムでは各ユーザ端末に通過地点と3G通信状況の履歴に加え,他のユーザ端末との遭遇履歴を記録させ,3G通信可能エリアおよび特定ユーザに最短時間で到達する経路表を構築し,すれ違い時に経路表を他のユーザと交換することで,経路表を更新していく.また,提案手法の性能評価を適切に行うためのシミュレーション方法について述べる.