著者
今満 亨崇 松村 敦 岸 広至 宇陀 則彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.189-192, 2012
参考文献数
13

子どもが「おもしろい」と感じる絵本を推薦するシステム構築の基礎的準備として,絵本の主題が子どもの反応とどのような関連を持つのか検討を行った.そのために,34組の親子による絵本の読み聞かせを記録し,ページ毎の絵本の主題と子どもの反応の関連を分析した.その結果,「見る」,「座る」,「考える」,「失敗する」,「話す」,「住居」,「楽しむ」,「他者を認識する」の8主題について子どもが好きな絵本で見せる反応と関連があることが分かった.さらに,個々の反応と主題の関連を分析することで子どもの反応を扱う際の問題点を明らかにした.
著者
今満 亨崇 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.109-112, 2011

本研究は,集団に対する読み聞かせ(お話会)のための絵本選択支援を目的とする.そのために,読み聞かせ時の子どもの様子を活用することの検討を行った.具体的にはまず,子どもの様子をお話会の記録から収集し,現在出版されている絵本リストと組み合わせることで,子どもの様子付き絵本リストを作成した.次に,被験者にお話会を想定した絵本選択を行ってもらい,子どもの様子がどのように参考にされるのかを見た.その結果,子どもの様子は絵本の内容と同程度に参考にされ,絵本選択支援に有効であることが分かった.さらに,絵本選択時に参考にする情報の傾向を記録することで,個人にあった絵本選択となる可能性が示された.
著者
今満 亨崇
巻号頁・発行日
2013

筑波大学修士 (図書館情報学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (30938号)
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.167, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)

TP&Dフォーラムという研究集会があります。整理技術・情報管理の世界,より具体的には図書館分類法,Indexing論,情報検索,情報管理,目録法といった領域を対象とする研究集会です。情報科学技術協会(当協会)は長年この研究集会を後援してきました。さらに,2022年度より連携を強化し,ここで発表された内容や,そこで行われた議論についてまとめた記事を,当雑誌へ掲載しております。本号では最初に佐藤久美子氏に2022年のフォーラム概要をまとめて頂きました。その後,具体的な発表内容の記事が続きます。関根禎嘉氏には,テレビ番組メタデータモデルの構築について,発表内容及びフォーラム内で行われた議論を踏まえて,論文としてまとめて頂きました。コンテンツ,放送イベント,エージェントを大枠とするこのメタデータモデルは,単純に映像作品ではなく“番組”を管理する上で特有の概念を含有しています。またRDFを用いていることもあり,他のデータとつなげることで,メタデータをより活用できる可能性を感じます。永田知之氏には,日本の書籍目録に占める漢籍の位置について,発表内容及びフォーラム内で行われた議論を踏まえて,論文としてまとめて頂きました。漢籍といえば四部分類ですが,日本ではどのように導入されていったのでしょうか。本研究では,過去の目録での採否とその特徴を調査しております。さて,これら論文執筆のためにTP&Dフォーラム内でどのような議論が行われたのか,李東真氏および木村麻衣子氏にそれぞれ,討議報告の形でまとめて頂きました。研究内容について他の研究者はどのような評価をしたのか,どのような質疑が行われたのか,会場の関心はどこにあったのか,など論文には書かれることのない情報が多く記されております。そういった研究活動の裏側に注目しながら読んでも得るものが多くあります。インフォプロの業務は,様々な学問的背景,研究領域を有しています。その中でも,TP&Dフォーラムが対象としてきた領域は,インフォプロの専門性を支えるコア領域の一つです。本特集が,整理技術・情報管理の重要性を再確認し,将来について考えるきっかけとなれば幸いです。(会誌担当編集委員:今満亨崇(主査),青野正太,長谷川幸代,森口歩)
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.75, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)

今回は「テレワークとサイバーセキュリティ」に関する特集を企画しました。まずは松下慶太氏(関西大学)に,コロナ禍による労働環境の変化と,そこで利用されているツールについて論じて頂きました。今まさに生じている私達の労働環境の変化について,メタな視点で理解できるとともに,多様なツールが導入されている現状や,新しいツールの可能性について理解を深められるかと思います。業務環境の変化や新しいツールは業務を良い方向へ変革する一方で,セキュリティの観点からは攻撃の機会を増やすことに繋がりかねません。そこで池上雅人氏(キヤノンITソリューションズ)に,最近のサイバー攻撃の動向と対策についてご紹介いただきました。特にランサムウェアとEmotetに焦点を当てた記事となっております。国内でも2022年10月に那覇市立図書館がランサムウェアに感染し,貸出停止などサービス提供に多大な影響を受けた事例1)は読者の皆様の記憶に新しいかと思います。このような被害を出さないよう,最近の攻撃方法や防御方法について理解を深めたいものです。さて,最近の防御方法,つまりサイバーセキュリティについて理解を深めるにあたりキーワードとなってくるのが「ゼロトラスト」という概念です。本特集を検討する際,境界防御型からゼロトラストへ移行する方針を示す例を確認しております2)3)。ただ,組織のネットワーク基盤構成に関する話題であるため,情報システム部門でないとなかなか知る機会がありません。そこで井本直樹氏(インターネットイニシアティブ)に,これらがどのようなものなのかをご解説頂きました。最後に,実際にゼロトラスト導入に関与された木村映善氏(愛媛大学)および,山北英司氏(同志社大学)に,ご経験より得られた知見を共有して頂きました。図書館をはじめとする情報サービス部門では,情報システム部門とは別に独自のシステム調達を行うこともあると思います。木村氏の記事にある「5.これから取るべき方策」は,そういった部署の方々に是非読んで頂きたい内容です。また,ゼロトラストへ移行した場合の研究活動への影響について,山北氏の記事の「5.ゼロトラストへの更なる取り組み」はたいへん示唆に富む内容となっております。特に電子ジャーナルサイトで一般的なIPアドレス認証とゼロトラストとの関係については,どの組織でも必ず問題になるはずです。ゼロトラストへの移行は徐々に進んでおります。読者の皆様の職場が,ゼロトラストへ移行する時に慌てることが無いよう,今回の特集をお役立ていただけますと幸いです。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),安達修介,鈴木遼香,長谷川智史)1) 銘苅一哲,玉那覇長輝.“本の貸し出しを全館で再開 サイバー攻撃を受けた那覇市立図書館”.沖縄タイムス.2022-10-26.https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1046798, (参照 2023-01-26).2) “総合情報環構想2022”.熊本大学.2022-03-24.https://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/katudou/johokankoso/johokankoso_file/johokankoso2022.pdf, (参照 2023-01-26).“学校法人北里研究所報”.北里研究所.2022-01.https://www.kitasato.ac.jp/jp/albums/abm.php?f=abm00036714.pdf&n=%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%B3%95%E4%BA%BA%E5%8C%97%E9%87%8C%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E5%A0%B1%E6%96%B0%E5%B9%B4%E5%8F%B7%EF%BC%882022%E5%B9%B41%E6%9C%88%EF%BC%89.pdf, (参照 2023-01-26).
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.289, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)

情報科学技術協会(当協会)が長年後援してきた,TP&Dフォーラムという研究集会があります。整理技術・情報管理の世界,より具体的には図書館分類法,Indexing論,情報検索,情報管理,目録法といった領域を対象とする研究集会です。この度,大変喜ばしいことに,この研究集会で発表された内容や,そこで行われた議論についてまとめた記事を当雑誌へ掲載できることになりました。インフォプロの業務は,様々な学問的背景や研究領域を有しています。その中でも,TP&Dフォーラムが対象としてきた領域は,インフォプロの専門性を構成するコア領域の一つです。そこで本特集では,インフォプロにとっての整理技術・情報管理の重要性を再確認するとともに,その研究動向をお伝えする特集としました。まずは当協会の会長でもありTP&Dフォーラムの活動にも積極的に参加されている山﨑久道氏に,インフォプロの専門性と整理技術・情報管理がどのように関連しているかを非常に明解にご解説頂きました。その後,「TP&Dフォーラム2021」の内容を小特集としてまとめております。最初に鈴木学氏に2021年のフォーラムそのものの概要をまとめて頂き,具体的な発表内容が続きます。福田一史氏にはコミュニティ生成データを典拠とした目録作成の試みについて,発表内容及びフォーラム内で行われた議論を踏まえて,論文としてまとめて頂きました。インフォプロ以外の人々がインターネット上で作成しているデータを,目録作成の典拠として活用する可能性や課題を検討した論考で,将来の業務にも影響を与えうるものです。この論文執筆の前にTP&Dフォーラムでどのような議論が行われたのか,森原久美子氏に討議報告の形でまとめて頂きました。研究内容に関する議論が興味深いのはもちろんですが,研究者ではなく実務者が論文や記事が執筆されるまでの議論の過程を知ることはなかなかありません。そういった観点から読んでも得るものが多くあります。ところで,TP&Dフォーラムは2021年の開催で30年の節目を迎えており,これまでとこれからについてパネルディスカッションを中心として議論を行っています。記事では実際のフォーラムの流れに則り,まずはパネリストの方々の発言要旨をまとめて頂きました。その次の記事では,参加者を含めた討論の内容や,これまでの発表内容の傾向の変化をまとめています。これら記事からは,関係各人の熱い想いが感じられるとともに,TP&Dフォーラムの今後ますますの発展が期待できる内容となっております。本特集が,整理技術・情報管理の重要性を再確認するととともに,その将来について考えるきっかけとなれば幸いです。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),青野正太,野村紀匡,李東真)
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.37, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

情報伝達媒体としての動画を考えてみると,文字情報に比べて大量の情報を一度に伝えることができたり,編集による表現の幅が広いため,発信者のメッセージをより効果的に受け手に伝えることができます。その特性から,娯楽や広告での利用はもちろんのこと,業務研修や講義配信なども行われてきました。大学では,従来より広報のために動画が利用されてきたほか,特にCovid-19の流行以降は講義を動画で配信するなど,動画活用の動きは加速しています。そこで今月号では,動画を活用する上で必要な基礎知識から,実際の利活用事例を紹介し,動画の活用を促すための特集を企画しました。まずは辻泰明氏(筑波大学)に動画の特性や普及状況を整理した上で,社会に与える影響や活用の方向性について広く論じていただきました。その後,斎賀和彦氏(駿河台大学)に動画を作成する上での基礎知識を整理していただきました。実際の動画作成フローを元に,各ステップで非常に実用的なアドバイスをいただいております。これらを基礎的な知識としてインプットした上で,より理解を深めていくため,永田正樹氏(静岡大学)及び宮原俊之氏(帝京大学)に,特に大学での動画作成の目的となる広報と教育の観点から,どのような動画が良いと考えられるか,ご執筆いただきました。最後に,動画の効率的な管理方法について考えるため,三浦和己氏(国立映画アーカイブ)に国立映画アーカイブが動画管理に用いているデータベースについて,どのようにデータを管理しているのかを中心にご紹介いただきました。本特集を,皆様の所属機関での動画作成にお役立て頂けますと大変嬉しく存じます。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),池田貴儀,中川紗央里,長谷川智史)
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.147, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)

私達は普段,様々なシステムを利用しながら業務を行っています。これらシステムは単体で動作するものも多いですが,システム間で連携するものや,データの再利用を前提としたものも一般的になってきました。学術情報の業界を考えてみると,論文を始めとする様々な知識・情報を効率よく,それも世界中に流通させることが大きな課題の一つです。昔から多くの取り組みが行われており,例えば図書館ではカード目録を整備したり,図書館間の協力関係を強化したりしてきました。とくに最近では,先述の背景もありwebベースのシステムを用いた取り組みが加速しています。効率よく情報を流通させるためには,標準的な技術の利用が欠かせません。開発者が別々の仕様でシステムを構築し,運用者がバラバラのルールでデータを整備している状況での不利益を想像してみてください。例えば図書館員の立場では,コピーカタロギングのようなデータの再利用には個々のサービスのデータ構造を理解する必要があります。webサービス提供側の立場では,データの再利用を促すための緻密なドキュメント整備が必要です。開発者の立場では,要件をゼロから考える必要があるため開発効率が上がらず,開発したものが顧客の要求とどれほど合致するかは開発が進まないと確定しません。本特集では,現在一般的に使用されている,もしくは利用が見込まれる,学術情報流通システムの標準化技術を主に紹介しています。まずは吉本龍司氏に本特集の総論として,標準化技術をどのように捉えているかシステム開発者の目線でご執筆いただくとともに,webの一般的な技術を広く紹介していただきました。そのうえで具体的なシステムを個別に見ていく構成としております。主に図書館情報システムで用いられる標準化技術については大向一輝氏,飯野勝則氏,片岡真氏,塩崎亮氏,村上遥氏にご執筆頂きました。耳馴染みのある技術も多いですが,海外の状況や学術情報流に親和性の高い一般的な技術も合わせて広くご紹介頂いております。機関リポジトリシステムで用いられる標準化技術については林正治氏にご執筆頂きました。ユースケースを交えて非常にイメージしやすくご紹介頂いております。また,機関リポジトリへデータ登録する際の“SWORD”の日本語解説は,他誌やインターネット上でもあまり無く,大変参考になります。デジタルアーカイブ関連では,近年話題のIIIFだけでなく,UnicodeやTEIについて永崎研宣氏にご執筆いただきました。また,時実象一氏には論文出版システムの標準化技術としてJATSを中心にご紹介頂いております。これらの2記事は標準化技術の紹介はもちろんですが,国際的な標準化技術の改善に貢献したり,日本独自の要件を追加したりすることの重要性も,経験を交えてご執筆頂けております。学術情報流通システムは,様々な技術の連携によって構成されています。単体のシステムに留まらないこの複雑さは,学術情報流通システム全体への理解を妨げる要因であり,一方で多くの理想を実現するための興味深い技術でもあります。本特集が,学術情報流通を支えるシステムへの理解を深め,仕様を策定する際の参考資料としてや,4月からシステムを担当される方の入門書としてご活用いただけますと幸いです。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),光森奈美子,中川紗央里,野村紀匡,李東真)
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.391, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)

本特集ではRDF(Resource Description Framework)/SPARQL(SPARQL Protocol and RDF Query Language)による検索と可視化について特集しますが,特集の紹介をする前にまず弊誌がこれまでRDF/SPARQLについてどのような特集記事を掲載してきたか振り返ってみたいと思います。RDFについては当初から扱っており,1999年には当時W3Cにて検討中だったRDFについて,Dublin Coreのメタデータ記述と関連付けて紹介しています1)。時代が進むにつれ,身近なシステムがRDFデータを提供する動きが出てきました。2014年の特集「Web API活用術」2)ではCiNiiにおけるRDFデータの提供やその活用事例を紹介する記事を掲載しています。システム側での提供が増えると,それを利活用する動きも活発となり,2017年の特集「つながるデータ」では古崎晃司氏がLOD(Linked Open Data)活用コミュニティの取り組みの中でRDFにも言及していたり3),神崎正英氏の記事ではIIIF(International Image Interoperability Framework)のデータ構造がRDFでモデル化されていること等が紹介されています4)。ここに挙げたものに限らず,RDFについてはこれまで様々な記事を掲載してまいりました。一方SPARQLについてはどうでしょうか。2011年頃から言及する記事自体は複数掲載していますが,その利用方法などについて具体的に言及しているのは神崎正英氏ら5)の記事や,古崎晃司氏の記事6)に留まります。近年ではWeb UIでSPARQLの入力を受け付けるサービスも増えつつあり,インフォプロがRDF/SPARQLを利用する機運が高まっています。そこで本特集ではインフォプロが主体的にRDFデータを収集・利活用することを想定しました。まずはライフサイエンス統合データベースセンターの山本泰智氏にRDF/SPARQLの概要を非常に分かりやすくまとめて頂きました。次に,ゼノン・リミテッド・パートナーズの神崎正英氏に,様々なWebサービスにおけるSPARQLでの検索クエリ,及び得られるRDFデータについて概観して頂きました。個々のWebサービスからデータを得られるようになった次のステップとして,大阪電気通信大学の古崎晃司氏には得られるデータをいかにしてつなげるか,その作成方法についてご解説頂きました。ところでRDF/SPARQLはその性質上,複数ソースのデータをつなげて大規模なデータセットを作成することが可能ですが,そのままでは役に立ちません。可視化することの重要性について,コミュニケーションの媒介としての観点からノーテーションの矢崎裕一氏にご解説いただきました。最後は多摩美術大学の久保田晃弘氏に,可視化された複雑なデータの分類について人間の認知と関連付けてご紹介頂くとともに,大量かつ複雑で一貫性に欠ける現実の情報の世界にシステム的な共通の枠組みを適用する方法として圏的データベースをご紹介頂きました。最近はデータ駆動型社会の到来などと言われております。インフォプロがそのような社会を生き抜くための資料として,本特集をご活用いただけますと幸いです。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),炭山宜也,野村紀匡,海老澤直美,水野澄子)参考文献1) 杉本重雄.〈特集〉メタデータ:メタデータについて:Dublin Coreを中心として.1999,vol.49,no.1,p.3-10.2) 情報科学技術協会.情報の科学と技術64巻5号.2014.3) 古崎晃司.〈特集〉つながるデータ:コミュニティ活動を通したLOD活用の“つながり” -LODハッカソン関西を例として-.2017,vol.67.no.12,p.633-638.4) 神崎正英.〈特集〉つながるデータ:リンクの機能を柔軟に生かすデータのウェブ.2017,vol.67,no.12,p.622-627.5) 神崎正英,佐藤良.〈特集〉典拠・識別子の可能性:ウェブ・オントロジーとの関わりの中で:国立国会図書館の典拠データ提供におけるセマンティックウェブ対応について.2011,vol.61,no.11,p.453-459.6) 古崎晃司.〈特集〉ウェブを基盤とした社会:ウェブの情報資源活用のための技術:ナレッジグラフとしてのLOD活用.2020,vol.70,no.6,p.303-308.
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.169, 2020-04-01 (Released:2020-04-01)

パソコンは業務遂行のための道具としてすっかり定着しました。書類の作成,コミュニケーション,業務管理,データ分析など,何をするにも欠かせないツールです。しかし当たり前の話ですが,パソコンを用いた業務は使用するソフトウェアに依存してしまいます。一般的な業務であれば,それを支援する機能がソフトウェアに組み込まれています。そのため,これまでは既存のソフトウェアを十分に活用して業務を遂行する能力が重宝されました。しかし業務量が増加し,多様な成果も求められる現代において,既存の機能を活用するだけでは不十分です。また,機能拡張するにも金銭的コストが必要となります。ではどうすればよいのでしょうか。自分でプログラムを書いて,ツールを作ってしまえばよいのです。幸いにして現在は,理解しやすいプログラミング言語が増え,開発に必要な情報は書籍やインターネット上にあふれるほど公開されており,誰かが作成したプログラムを参考にできる環境が整っています。プログラミングの技術は,情報を扱うインフォプロの業務を効率化・高度化する上で極めて役立ちます。高度なデータ処理を行い個々の情報要求に合うサービスを提供したり,大量の単純作業を短時間でヒューマンエラー無く処理したりすることができます。また,検索サービスを含む様々なシステムの特性を理解したり,発注するシステムの仕様を検討する際にも有用です。しかしながらプログラミングは一般的に行われておりません。そこで本号は,皆様のプログラミングに対するハードルを下げ,実際にプログラムを書くきっかけとなる特集を目指しました。具体的には,インフォプロが実際に作成したプログラムの事例とその解説を中心に構成しております。まずはプログラミングのススメとして,前田朗氏(東京大学)にご自身の経験を踏まえてプログラミングのメリットをご紹介頂きました。次に,兼宗進氏(大阪電気通信大学)にプログラム一般に共通する基礎的な概念を,Tokyo.R運営チームの方々にテキスト分析の入門的な方法をご解説頂きました。その後,新出氏(富谷市図書館)および高久雅生氏(筑波大学)には図書館業務を対象に,西尾啓氏(株式会社エンライトオン)および安藤俊幸氏(アジア特許情報研究会)には特許調査関連業務を対象に,ご自身が作成したプログラムとその解説を中心に,それぞれ記事を執筆して頂きました。実際に手を動かすことを考慮して頂いたり,業務におけるプログラミングの考え方をご紹介頂いたり等,自身で作成したプログラムを業務で活用してきた皆様の知見を盛り込んだ,充実した内容となっております。本特集が,皆様がプログラミングに着手するきっかけとなれば幸いです。折しも2020年度から小学校でプログラミング教育が必修となります。このタイミングに我々もプログラミングを始めてみませんか。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),炭山宜也,南山泰之,野村紀匡)