著者
今田 和則 平山 明 野島 哲 菊池 泰二
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.11, pp.124-137, 1981-12

The ecological distribution of phytal amphipods on seaweeds were investigated in a Sargassum bed at the coast of Tomioka Peninsula, Amakusa, Kyushu. Eight plants of 4 Sargassum species were collected underwater by the vertically stratified sampling method in May when these seaweeds fuliy grown up. By this sampling, 10 species of caprellids and 21 species of gammarids were obtained. The similarities among epiphytic amphipod assemblages of each host plant were analyzed for Caprellidae and Gammaridea respectively. These assemblages resembled each other, consequently it was speculated that these epiphytic amphipods generally have no specific preference to the host plants. Simultaneously, two groups were recognized in both taxa, namely, one group consists of S, patens and S. horneri which were collected in the outer part of the Sargassum bed, another is S. thunbergii and S. hemiphyllum which mainly flourish inside. The difference seemed to be caused by the factors which related with wave action or other hydrodynamic conditions. In the vertical distribution of the biomass of each alga, the weight of higher part was normally heavier than that of lower part, and this tendency was also observed in the individual number of amphipods on each part. Vertical distribution of 6 species of amphipods (Caprella decipiens, C. danilevskii, C. tsugarensis, Ampithoe orientalis, Aoroides columbiae, Pontogeneia rostrata) showed high positive correlations with those of seaweeds biomass. Exclusive of S. horneri, C. monoceros and Phliantidae sp. 1 also showed positive correlations with the vertical distribution of seaweed biomass like other species. On S. horneri, however, they mainly occurred on the lower part of seaweed and showed negative correlation.
著者
津田 敏彦 今田 和則 水口 清
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.1, pp.55-63, 2008 (Released:2008-07-14)
参考文献数
54
被引用文献数
2

イミキモド・クリーム剤(販売名:ベセルナクリーム5 %)は,米国の3M Companyで開発された外用剤で,本邦初の尖圭コンジローマ治療薬である.イミキモドは,細菌やウイルスの構成成分を認識し免疫応答を賦活化するトール様受容体(TLR)のひとつであるTLR7に対してアゴニスト活性を示す.イミキモドは,直接的にはウイルスの増殖抑制作用を示さないが,単球あるいは樹状細胞に発現するTLR7に作用してIFN-α,TNF-αおよびIL-12などのサイトカイン産生を促進し,主としてIFN-αの作用によりウイルスの増殖を抑制する.また,イミキモドにより産生が促進されるIFN-α,TNF-αおよびIL-12などのサイトカインはT細胞を活性化し,活性化T細胞から産生されるIFN-γなどのサイトカインを介して細胞性免疫応答を賦活化する.尖圭コンジローマ患者を対象とした臨床薬理試験において,イミキモド5 %クリームの塗布により疣贅部位のヒトパピローマウイルス-DNA量の減少,IFN-α,TNF-α,IFN-γおよびIL-12のp40サブユニットの各mRNA量の増加が認められた.以上から,イミキモド5 %クリームは塗布部位において各種サイトカインの産生を促進し,ウイルス増殖の抑制および細胞性免疫応答の賦活化によるウイルス感染細胞傷害作用により,疣贅を消失させると考えられる.国内および海外で実施された尖圭コンジローマ患者を対象とした臨床試験において,イミキモド5 %クリームの1日1回,週3日,最大16週間塗布により疣贅の消失あるいは縮小が認められた.本邦では,これまで尖圭コンジローマの治療には外科的療法が用いられてきたが,イミキモド・クリーム剤は外科的療法と比較して侵襲が少なく,有用な治療薬として期待される.
著者
大庭 澄明 今田 和則 友光 将人 竹谷 仁吏 金子 大樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.142, no.6, pp.304-314, 2013 (Released:2013-12-10)
参考文献数
4

フィルグラスチムは,遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子であり,好中球前駆細胞から成熟好中球への分化・増殖の促進,骨髄からの成熟好中球の放出促進による末梢血中の好中球数増加および好中球機能の亢進,造血幹細胞の末梢血への動員等の作用を有し,がん化学療法による好中球減少等の治療に利用される生理活性タンパク質である.持田製薬株式会社および富士製薬工業株式会社がそれぞれ販売を開始したフィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」およびフィルグラスチムBS注シリンジ「F」は, グラン®(協和発酵キリン株式会社)を先行品とするバイオ後続品であり,それらの有効成分は,グラン®の有効成分であるフィルグラスチム(遺伝子組換え)と同一の一次構造を有し,グラン®の1番目のバイオ後続品の有効成分を意味するフィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続1]である.当該フィルグラスチムバイオ後続品の開発においては,「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」および「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」に準拠して,品質特性,非臨床試験(薬理試験と毒性試験),および臨床試験を実施した.フィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」の品質特性は,先行品と同等/同質であった.また,非臨床試験および臨床薬理試験において,好中球数増加作用,末梢血中への造血幹細胞の動員作用および薬物動態,安全性は,先行品と同等/同質であった.さらに,乳がん患者を対象とした第III相試験において,有効性・安全性が確認された.持田製薬株式会社と富士製薬工業株式会社は,これらの成績をもとに本邦でフィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」の製造販売承認申請を行い,2012年11月に先行品と同じ効能・効果で承認を取得,2013年5月に薬価収載され,販売を開始した.今後,フィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」は,医療現場において広く使用されることが期待される.