著者
今西 隆男 市原 孝志
出版者
高知県立森林技術センター
雑誌
高知県立森林技術センター研究報告 = Bulletin of Kochi Prefectural Forest Technology Center (ISSN:13486004)
巻号頁・発行日
no.36, pp.98-108, 2011-03 (Released:2013-10-08)

ウスキキヌガサタケの栽培試験を3カ所の試験地で行った。培養した菌床を4~6月に埋めると、発生は埋めた3~5ヶ月後から始まった。翌年からの発生は6月中旬頃に始まり、7月、8月、9月に2~3回のピークがあり10月頃まで続いた。発生は埋めた年から3年間以上継続し、約lkgの菌床から2~3年の間に6個以上の発生が期待できる。子実体の平均的な大きさは、自然条件下では生重量18g、柄の長さ16cm程度である。
著者
坂輪 光弘 今西 隆男
出版者
高知工科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

従来の木炭に比して、4から5倍の気孔を有する超多孔質の炭を製造できることを見出した。この原料として、古紙やダンボールなどの廃材も使えることを明らかにした。これらの木質系資源を粉砕し、圧密後、炭素化することで超多孔質の炭を造る。この圧密の過程での圧密の程度で気孔を制御できる。この気孔には、マクロな気孔とミクロな気孔が存在することが判った。マクロな気孔は、圧密の程度に比例する。ミクロな気孔は原料の炭素化過程での揮発分に因る。このためマクロ気孔は制御が可能であるが、ミクロ気孔は原料依存性が大きく、制御は簡単ではない。このマクロ気孔は、植物の根や菌糸の大きさに適合するので、植物と菌糸の生育には欠かせない。一方、ミクロ気孔は水分や空気の流通の経路として大切であり、やはり植物や菌糸の生育には欠かせない。植物や菌糸の生育を試みた結果、松などの樹木の生育も可能である。またトマトやきゅうりなどの野菜類の生育も可能である。特に炭素化過程で1000℃程度まで加熱してあるので、雑菌に犯される確率が少ないため、野菜類の苗の生育する割合が通常の苗床に比較して高いことも見出された。また、芝などの生育も可能である。ビルの屋上やベランダでの利用が可能であり、炭が軽量であるので土の栽培床に比してメリットが大きい。このためヒートアイランドへの対応や都市でのビル街の緑化にも使える可能性がある。また、炭は吸着性があるので植物や菌糸類の栄養剤を吸収するのではないかと懸念される。窒素、燐酸、カリの3要素について炭の吸着特性を調べたところ、一部は吸着するがすぐに飽和し、ある量以上は吸着しないことも判った。このことは過剰に栄養剤を与えた場合でも、緩和してくれる可能性もある。以上の結果か従来の炭では全く栽培することの出来なかった樹木や野菜などの植物と菌糸類が生育することが判り、実用化の可能性を見出すことができた。