- 著者
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黒岩 純一
今道 友則
- 出版者
- 公益社団法人 日本実験動物学会
- 雑誌
- 実験動物 (ISSN:00075124)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.3, pp.213-222, 1977 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
2
Chinchilla lnaigerは南米Andes山脈原産の齧歯目, ヤマアラシ亜目, チンチラ科, チンチラ属の毛皮獣でモルモットと比較的近縁である。当研究室では1966年チンチラの飼育繁殖を開始し, 常時120~150匹を飼育し, 実験動物化および毛皮産業の発展を目標として研究を行なってきている。本報は当研究室において最近4年間に得られたチンチラの発育, 繁殖に間する成績をまとめたものである。初回腟開口日令は変異が大きく (71日令以下~308日令) , 45匹の平均は173.2±57.6日令であった。24匹100性同期の平均は35.7±7.9日であり, 15~62日の範囲であった。5匹の動物について調べられた5妊娠期間の平均は110.4日で108~112日の範囲であった。3年間に分娩した123腹中で5月~8月の分娩数が81腹 (65.9%) で最も多い。従って妊娠期間約110日をさかのぼった1月~4月すなわち春がチンチラの繁殖に最も適した季節と考えられる。12月には分娩が見られず, 妊娠期間をさかのぼると8月~9月上旬には受胎しないようであり, Weirのいうsummer anoestrusと考えられる。産仔数は1~4匹で2匹が最も多く (46.3%) , 平均1.90±0.76匹 (1~4) であった。出生時の性比は133.7 (雌98, 雄131匹) で, 他の動物に比較して雄が多いようである。1973年の年間分娩数は37腹71匹で平均産仔数は1.92匹であった。離乳仔数は59匹, 1腹平均1.59匹, 240日令つまり成熟に達するとみなされる日令に達したもの50匹で1腹平均1.35であった。死因を調査した91匹の動物のうち, 事故死が26匹 (28.6%) , 乳仔の死亡が23匹 (25.3%) と最も多かった。不正咬合が9匹 (9.9%) , 直腸脱が5匹 (5.5%) と多いのが特徴的であった。