著者
仮屋園 璋
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集 (ISSN:02888610)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-22, 1974-03

長崎市内のカステラの品質について,保水度や硬さ,比容積の変化及びスポンジ状組織の切断面の状態,Batter生地の泡立ち性などこれらを包含した組織的性状や材料配合の適正そしてデンプン,タンパク質成分等の栄養的消化性など,三つの面より立体化し追究した一つの機構から,その本質を考察し,即ち品質的にすぐれているということは,どのような意味を持っているのか,又一般にカステラの特質というものは何であるかを考察した。主材料の一つである鶏卵卵白をはじめとして,適切な均衡ある諸材料の配合による,丈夫で安定した良く分散された泡立ちの良い,Batter生地の形成において,保水度の高い老化しにくい新鮮な香味の,スポンジ状組織構造が形成され,消化性の高い製品が得られる。品質的にすぐれているというのは,以上のそしてその為の一連の総合された要素によって構成される,一つの立体的機構により知ることが出来る。特にカステラが食品として所在し又それが嗜好される為には,卵白や糖類を中心とした適切な均衡ある諸材料の配合が必要である。ここにおいてカステラとしての品質に基づく特質が存在する。