著者
阿部 一博 緒方 邦安
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
コールドチェーン研究 (ISSN:02851377)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.104-108, 1976-10-10 (Released:2011-05-20)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

この研究は,ナス果実の低温障害に関する研究の一環として,低温障害の発生におよぼす温度ならびに湿度の影響について調べたものである。1) ナス果実を1℃,6℃,10℃,20℃の各温度下に有孔ポリエチレン袋詰めとし貯蔵すると,商品性の保存期間はそれぞれ,9,11,21,23日であった.商品性を低下させる主な原因は,1℃,6℃貯蔵では,ピッティングで,10℃,20℃貯蔵では,がく部から始まる腐敗であった。2) ピッティングの発生は,1℃,6℃貯蔵のみでみられ,その発生は適熟果(開花14日)で多く,未熟果(開花5-7日),過熟果(開花24-27日)で少なかった。両貯蔵温度区において冷涼期に収穫された果実では発生は減少し,また一時10℃で貯蔵することによってその後の低温貯蔵中の発生を減少させることができた。3) 1℃の温度下で,乾燥状態の貯蔵区では黒色の陥没が多く発生し,湿潤状態の貯蔵区ではピッティングが多く発生した。光学顕微鏡での観察により,黒色の陥没は表皮細胞の崩壊,ピッティングは柔組織の細胞の崩壊により始まることがわかった。4) ナス果実の貯蔵条件としては,10℃-20℃の温度域で,やや過湿状態がよいと思われる。
著者
太田 輝夫
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
コールドチェーン研究 (ISSN:02851377)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.110-114, 1980-12-10 (Released:2011-05-20)
参考文献数
3