著者
藤村 善安 仲宗根 忠樹 徳江 義宏 城野 裕介
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.109-116, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
13

1. 近年の調査報告が少ない沖縄県与那国島の湿地植生を記載するとともに,過去の記録と比較して,どのような変化が生じたかを明らかにした.2. 調査の結果,過去に記録された7群落に加え,新たに5群落を記録した.これら新たに認められた群落の多くは,かつて水田であったが,現在牧場となっている場所,あるいは放棄水田に成立している群落が主であった.3. 外来種について,過去の記録にないものとしてパラグラスとホウキギクを認めた.また,キシュウスズメノヒエとツルノゲイトウは以前から記録のある種であるが,以前よりも増加している可能性が考えられた.4. 1976年と2014年の土地利用を比較すると,水田面積が68%減少し,かつて水田であった場所の一部に湿地植生が成立していた.このような二次的な湿地が島内の湿地面積に占める割合は大きく,これら二次的な湿地は湿地性の外来種の生育地となるとともに,湿地性の絶滅危惧種にとっての貴重な生育地にもなっていると考えられる.
著者
内貴 章世 仲宗根 忠樹 大井・東馬 哲雄 米倉 浩司 阿部 篤志
出版者
The Editorial Board of The Journal of Japanese Botany
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.134-139, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
15

国内では沖縄県与那国島にのみ分布するヤエヤマハシカグサExallage auriculariaが約40年ぶりに再発見されたので報告する.近縁種を含めた分子系統解析を行ったところ,先行研究と同じく本種は単系統ではないことが示唆され,与那国のものはタイやフィジーに分布するものと近縁であることが示された.本種は形態が多型的で種内分類群が提唱されたことがあり,種内および近縁種との関係性を明らかにするためにはさらなる解析が必要である.