著者
西脇 友紀 阿曽沼 早苗 小野 峰子 仲村 永江 田中 恵津子
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.277-285, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
9

【目的】視能訓練士の拡大鏡選定状況に関するアンケート調査の結果を報告する。【対象及び方法】2013年5月、ロービジョン(LV)対応医療機関に勤務している視能訓練士(日本LV学会員)を対象に拡大鏡選定に関するアンケートを郵送で行った。【結果】86名の視能訓練士から回答を得た。回答者の82.6%は、月あたり平均拡大鏡選定数が3つ以下であった。拡大鏡選定時に必要拡大率の計算・算定をしている者は72.1%で、視力値から計算する方法が最も多く用いられていた。方法を学んだ場所・機会について視能訓練士養成校と回答した割合は低く、養成校修了後に習得したと思われる回答が多かった。その方法を用いている理由の多くは効率性や正確性などで、計算・算定方法により違いがみられた。計算・算定をしていない場合の理由は「患者に任せている」との回答が多かった。計算・算定していると回答した者はほぼ全員が拡大鏡使用法の指導もしていると回答していた。【結論】LV対応医療機関に勤務している視能訓練士の拡大鏡選定状況の概要がわかった。現状では全体的に拡大鏡の選定数は少なかったが、今後、LVケアの需要は高まり視能訓練士が拡大鏡選定に携わる機会が増えることが予想される。視能訓練士はLVケアの主たる担い手として、その中核となる拡大鏡選定を適切に行えるように技術を高める必要がある。
著者
佐々木 由佳 仲村 永江 長澤 佳恵 宮田 律子 城戸 麻那 井上 睦 馬服 つかさ 田村 恵理 山田 晴彦
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.129-136, 2017 (Released:2018-03-17)
参考文献数
17

【目的】単眼の単焦点IOL挿入眼の4.0mから0.32mの各距離での裸眼視力を測定し、IOLの性能の違いから距離別視力に違いが生じるのかを検討した。【対象および方法】2012年10月から2016年8月に当院にて白内障手術を行った症例のうち、遠見裸眼視力0.7以上、屈折値S±1.00D未満、C-1.00D以下、瞳孔径3mm以下の75例97眼(平均年齢73.92歳)の距離別裸眼視力(logMAR)を後ろ向きに比較検討した。距離は、4.0mから0.32mまでの12段階とした。また遠近視力差を算出し、4種類のIOL間で比較した。Bonferroni/Dunn検定(p<0.05)の多重比較検定を用いて統計処理を行った。【結果】術後屈折平均値はS+0.06±0.34D、C-0.53±0.35D、瞳孔径平均は2.33±0.34mmであった。全てのIOLにおいて4.0mから0.8mは比較的良好な視力が得られ、近距離になるにつれ視力は不良となる傾向がみられた。また各IOL間で遠近視力差を比較したところ、有意差は見られなかった。各距離別にlogMAR値を比較すると、4.0mから1.0mの各群間に有意差はなかったが、4.0mから1.0mはいずれの群においても0.8mから0.32mの各群との組み合わせで有意差があった。また0.8mから0.32mのいずれの組み合わせにおいても有意差があった。【結論】遠見に焦点を合わせた単焦点IOLにおける裸眼視力は、4.0mから0.8mでは比較的良好であった。また今回用いた評価方法ではIOL間での差はなかった。