著者
井上 睦夫 小村 和久
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.13-25, 2001-03-20 (Released:2017-01-04)
参考文献数
65

Activities of cosmogenic nuclides have been numerously reported for extraterrestrial material, meteorites (especially chondrites). In addition to noble gases, cosmogenic radionuclides (e.g., 22Na, 26Al, 46Sc, 53Mn, 54Mn and 60Co) have also kept important records of their history during last ten million years. For example, low 60Co activity observed in most chondrites (<30 dpm/kg) suggests that their preatmospheric radii are less than 〜30 cm, and activities of 22Na and 26Al reflect various irradiation conditions by cosmic-ray such as shielding effect, exposure age and cosmic-ray flux with time and space. Terrestrial age (Antarctic meteorites; H group, <0.4×106y; L, LL,<106y estimated from 26Al, 36Cl and 14C activities) as well as exposure age (H, 3 -40×106y; L, LL, 3 -50×106y) shows different distributions between H- and L-, LL-group chondrites, which have possibly preserved the information about breakage of parent body and so on. The combined data of exposure age and activities of cosmogenic nuclides also give constraints on the complex history of chondrites (e.g., multi-stage irradiation as a result of fragmentation) until the collision with the Earth. Recently, with the progress of nondestructive γ-ray techniques, activities of relatively short-lived nuclides such as 46Sc, 22Na implied the irradiation conditions just before fall to the Earth. In this paper, "the evolution history of chondrites after separation from the parent body" is represented from activities of cosmogenic radionuclides in meteorites including recently fallen ones.
著者
長尾 誠也 山本 政儀 福士 圭介 桐島 陽 井上 睦夫 富原 聖一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2011年3月11日に発生した福島原発事故により環境中に放出された放射性核種の陸域と沿岸域での影響評価を行うために、主に福島県浜通りを調査地域に設定し、沈着した放射性セシウムの河川流域から沿岸域への二次的な移行動態を調べた。2011年5月から2014年12月までの観測結果では、河川水中の放射性セシウムの放射能濃度は、降雨時に一時的に増加するが、平水時には時間の経過とともに指数関数的に減少した。また、2011年度には、粒子態に含まれる放射性セシウムの存在割合が、それ以降の観測試料に比べて20~30ポイント低く、放射性セシウムの河川への流出挙動が事故初期時とそれ以降では異なることが明らかとなった。
著者
佐々木 由佳 仲村 永江 長澤 佳恵 宮田 律子 城戸 麻那 井上 睦 馬服 つかさ 田村 恵理 山田 晴彦
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.129-136, 2017 (Released:2018-03-17)
参考文献数
17

【目的】単眼の単焦点IOL挿入眼の4.0mから0.32mの各距離での裸眼視力を測定し、IOLの性能の違いから距離別視力に違いが生じるのかを検討した。【対象および方法】2012年10月から2016年8月に当院にて白内障手術を行った症例のうち、遠見裸眼視力0.7以上、屈折値S±1.00D未満、C-1.00D以下、瞳孔径3mm以下の75例97眼(平均年齢73.92歳)の距離別裸眼視力(logMAR)を後ろ向きに比較検討した。距離は、4.0mから0.32mまでの12段階とした。また遠近視力差を算出し、4種類のIOL間で比較した。Bonferroni/Dunn検定(p<0.05)の多重比較検定を用いて統計処理を行った。【結果】術後屈折平均値はS+0.06±0.34D、C-0.53±0.35D、瞳孔径平均は2.33±0.34mmであった。全てのIOLにおいて4.0mから0.8mは比較的良好な視力が得られ、近距離になるにつれ視力は不良となる傾向がみられた。また各IOL間で遠近視力差を比較したところ、有意差は見られなかった。各距離別にlogMAR値を比較すると、4.0mから1.0mの各群間に有意差はなかったが、4.0mから1.0mはいずれの群においても0.8mから0.32mの各群との組み合わせで有意差があった。また0.8mから0.32mのいずれの組み合わせにおいても有意差があった。【結論】遠見に焦点を合わせた単焦点IOLにおける裸眼視力は、4.0mから0.8mでは比較的良好であった。また今回用いた評価方法ではIOL間での差はなかった。
著者
仙石 学 松本 充豊 井上 睦 馬場 香織 油本 真理 磯崎 典世 横田 正顕 出岡 直也 小森 宏美 中田 瑞穂 上谷 直克
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題「政党政治の変動と社会政策の変容の連関:新興民主主義国の比較」は、世界金融危機の発生以後の新興民主主義国(主に東欧・南欧・ラテンアメリカ・東アジア)における社会政策・福祉枠組みの変容について、危機後の政治経済状況の変化に起因する「政党政治の変動」を軸に検討していくことを目的とする。特に世界金融危機の後に生じた既存政党の弱体化とポピュリスト系を中心とする新興政党の台頭が、危機以前に存在していた社会政策や福祉のあり方をどのように変革させたかという点に注目し、各国ごとの政党政治と制度変容の展開を検討すると同時に、これを体系的な形で比較分析を行うことを進めることとする。
著者
田中 さき Tung―Yuan Ho 長尾 誠也 松中 哲也 Rodrigo Mundo 井上 睦夫 谷内 由貴子 黒田 寛 熊本 雄一郎 滝川 哲太郎 守田 晶哉
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>化石燃料やバイオマスの不完全燃焼、および原油を起源とする多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、発癌性や変異原性をもつ有害有機物である。東アジア縁辺海と周辺海域において、PAHsの動態や生態リスクに関する研究が必要とされている。本研究は日本近海を中心とした北太平洋における広域的なPAHs水平分布を明らかにすると共に2017年以降のPAHs経年変動を解析した。各緯度帯における平均Σ14PAHs(粒子態+溶存態)は、基本的に中緯度域で高く、高緯度域で低くなる傾向を示した。沿岸海域では燃焼起源PAHsの寄与が高かったのに対し、外洋海域では原油起源PAHsの寄与が高かった。一方、2020年における日本海のΣ14PAHsは、2019年と比べ有意に低下した。塩分や海水シミュレーションの結果を基にすると、2020年における日本海のPAHs濃度減少は、黒潮系海水のPAHs濃度低下と、PAHs濃度の高い浅層海水の寄与の低下によって引き起こされた可能性が示唆された。</p>
著者
井上 睦夫 小藤 久毅 小村 和久
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.601-609, 2004-11-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

海藻 (ホンダワラ) 試料における微量人工放射性核種 (108mAg, 110mAg, 54Mn及び60CO) のバックグラウンドレベルの把握のため, 3通りのγ線測定 (method-1, 尾小屋地下測定室のGe-LEPS使用; method-2, 測定試料からの40K除去+地下測定室のGe-LEPS; method-3, 40K除去+地下測定室の井戸型Ge) を適用した。method-3の測定条件においては, ~8mBq/kg-fresh (108mAg, 110mAg, 60Co) という著しく低い最低検出濃度での測定が可能になった。更に1998年12月から2002年6月にかけ志賀原子力発電所付近で採取されたホンダワラ, 72試料に対して, 低バックグラウンドγ線測定 (40K除去+地下測定室) による環境放射能モニタリングを行った。その結果, ホンダワラにおけるフォールアウト核種, 137Csは, 0.2Bq/kg-fresh以下 (大部分は, 0.1Bq/kg-fresh以下) , 他の人工放射性核種は, 検出限界以下 (108mAg, 110mAg, <15mBq/kg-fresh; 54Mn, <20mBq/kg-fresh; 60Co, <25mBq/kg-fresh) であるなど, 志賀原子力発電所あるいは旧ソ連の放射性物質の海洋投棄などによる汚染の形跡はみられなかった。
著者
小村 和久 井上 睦夫 浜島 靖典 山本 政儀 中西 孝
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

(1)本研究遂行にもっとも重要な極低バックグラウンドGe検出器の性能アップを目的に、プラスチック検出器による逆同時計数法適用のための基礎研究を実施した。ウイーンで開催の国際会で発表。Journal of Applied Radiation and Isotopes誌に論文掲載決定。(2)放射化法による中性子計測法基礎研究のため、近畿大学の1ワット原子炉原子炉稼動時の中性子分布を測定。(3)2001年開始の青森県六ヶ所村での中性子モニタリングを継続,成果を研究会で発表。(4)極低バックグラウンドγ線計測による低レベル中性子評価関連の成果とともに論文として掲載。(5)Cf-252中性子線源を用いて金を放射化、所有の10ゲ台ルマニウム検出器の効率を評価(6)海中の中性子分布の深度深度分布測定のための最適条件を得るため、小木臨海実験所で3度水中照射実験を実施。(7)獅子吼高原(海抜640m)と辰口(海抜約30m)で環境中性子の同時測を行った。環境放射能研究会(つくば2004.3)で発表(8)海抜2100m地点で1年以上おいて中性子暴露した水試料の放射能測定を実施。(9)原爆中性子による極低レベル誘導核種152Eu評価のための分析手法について検討した。中でも妨害が大きアクチニウムとの相互分離に充填重点をおいて研究し分析法を確立。(10)前年度の測定で原爆中性子誘導放射性核種Eu-152の実測と理論計算値爆心から1.4kmまで一致することを報告。成果はサイエンス誌に投稿。原爆放射線被爆評価法DS02で発表。(11)JCO事故の漏えい中性子誘導核種のうち、スプーン等のステンレス鋼中に生成したCo-60の論文がJ.Environmental Radioactivity誌に掲載決定。放射化による低レベル中性子評価に関する基礎および応用研究で放射線影響協会より第3回放射線影響研究功績賞受賞。(2003.3)