著者
伊ヶ崎 知弘 石田 由美 毛利 武
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.235-240, 2002-12
被引用文献数
6

Populus albaの茎切片にバイナリーベクターpSMAB704を保持するAgrobacterium tumefaciens、GV3101(pMP90)を感染させ形質転換体を得た。pSMAB704はT領域にビアラホス耐性遺伝子(bar)とβ-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を保持しているバイナリーベクターで、bar遺伝子の発現はノパリン合成酵素遺伝子のプロモーターで制御されている。また、ポリA付加シグナル領域(ターミネーター)配列としてアラビドプシスのリブロース-1、5-二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼのスモールサブユニットRbcS-2B遺伝子由来のものを用いている。ビアラホス存在下で形質転換処理した組織片よりカルスが生成・増殖し、植物体が再生・成長すること、植物組織のGUS染色およびゲノミックPCR解析により形質転換の成功を確認した。この形質転換法では、形質転換細胞を厳密に選抜することができるので、エスケープ(非形質転換体)やキメラ個体は出現しなかった。また、形質転換体の外観は、元の個体と同様で形態異常は見られなかった。