著者
伊佐地 友章 中村 清実 森林 広光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.598, pp.175-180, 1996-03-18
被引用文献数
3

脳の三次元空間認識・記憶情報処理様式を解析するために, ヒト及び動物に対する三次元空間作動記憶学習課題(三次元方向弁別遅延見本合わせ学習課題)とその制御装置を開発した. 本実験装置のヒトでの有用性を確かめるため, 異なる体位条件(正座位・横臥位)で本学習課題を行い音源方向識別能力を比較した. その結果, 体位軸(頭位軸)に垂直な面の方向識別能力は正座位が75.8%であるのに対し横臥位は60.7%であり, その差は統計的に有意(p<0.001)であった. 一方, 体位軸に平行な面の方向識別能力は正座位が54%であるのに対し横臥位は45.5%であり, 有意差はなかった. したがって三次元空間音源識別には聴覚及び視覚又は聴覚及び平衡感覚情報の脳内ニューラルネットにおける統合メカニズムが関与すると考えられる.