著者
伊原 史英 大塚 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.41-45, 2014-01-20 (Released:2014-02-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

破傷風は皮膚の創傷部位から芽胞が侵入・発芽し, 神経毒素を産生することで発症する. 一般的には外傷歴と臨床症状から診断するが, 外傷歴の明らかではない症例では, 臨床症状のみで診断しなければならない. 今回, われわれは外傷を伴わない2症例を経験したので報告する. 症例1は両頸部・肩部の痛み, 開口障害を主訴に受診し破傷風1期の診断となり, 治療を行った. 症例2は抗破傷風ヒト免疫グロブリンの使用を治療開始時に拒否したが, 翌日より症状が悪化したため, 翌日に抗破傷風ヒト免疫グロブリンを使用した. 入院5日目より数回の頸部の部分的な硬直性痙攣を起こしたが, 気道確保などは行わず治癒した.