著者
清水 一政 尾関 美愛 田中 克典 伊東 佳代 中條 真二郎 浦川 紀元 厚地 幹人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.753-757, 1997-09-25
参考文献数
17
被引用文献数
3 27

東南アジア地域に自生するガガイモ科植物のギムネマ・シルベスタ (Gimnema sylvestre) は古くから糖尿病, リウマチあるいは痛風などの疾病に効果があると伝承されている. しかし, 甘味抑制と苦味を有し問題がある. 本研究は甘味抑制と苦味を示さないギムネマ・イノドラム (Gimnema inodorun) (GI) 葉を用い, モルモット腸管平滑筋の高濃度K^+収縮に対する実験, モルモット回腸の酸素消費量の測定, モルモット回腸の糖輸送電位測定およびラットの糖負荷による血糖値測定試験を行い, GI葉成分の糖利用との関連について検討した. GI葉の抽出・精製物は高速液体クロマトグラフィーで4分画 (F-I〜F-IV) し, これらの各分画成分を用いて実験を行った. その結果, GI葉中には腸管平滑筋の収縮, 酸素消費量の増加, 糖輸送電位の増加あるいは血糖上昇をそれぞれ抑制する効果があることが示された. 従ってこれらの成績より, GIの薬理作用は, 腸管におけるブドウ糖吸収を抑制することにより血糖上昇を抑制している可能性が示唆される.