著者
大森 啓太郎 増田 健一 阪口 雅弘 蕪木 由紀子 大野 耕一 辻本 元
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.851-853, 2002-09-25
参考文献数
13

農林水産省に犬のワクチン副反応として報告された311症例を症状別に分類した.狂犬病ワクチンにより副反応を起こした27症例においては消化器症状が最も多く(26%),次いで呼吸・循環器症状(22%),皮膚症状(11%)であった.狂犬病ワクチン以外の単価,混合ワクチンにより副反応を起こした284症例においては,皮膚症状が最も多く(53%),次いで消化器症状(16%),呼吸・循環器症状(14%)であった.311症例中,11症例(3.5%)においてワクチン副反応による死亡が認められた.
著者
野村 紘一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.71-74, 1995-02-15
被引用文献数
5

着床期の犬子宮内膜に人工的刺激を加えると, 脱落膜反応が誘起できることを先の報告で明らかにしたが, これらの組織反応は刺激の種類によって相違した. 本報告では,オリーブオイルを刺激源にしたときの組織反応の特徴を明らかにする目的でオリーブオイル注入のみの場合と創傷刺激後に注入した場合の組織像を比較検討した. 前者の場合は,子宮内膜上皮は網状あるいは樹枝状に子宮内腔に向け増殖したが, 機能層並びに基底層子宮腺の豪胞状過形成は起こらなかった. これに対して後者の場合は子宮内膜上皮の増殖以外に創傷性損傷を受けたと思われる箇所を中心にして基底腺の嚢胞状拡張増殖が付加され, いわゆるスイスチーズ様内膜を示した. オリーブオイルのみの刺激で子宮内膜上皮並びに緻密層子宮腺の子宮内腔へ向けての増殖を誘発することができるが, 機能層や基底層の子宮腺の増殖拡張を引き起こすには子宮腺の開口部の損傷が必要である.
著者
遠藤 秀紀 川嶋 舟 堤 たか雄 佐々木 基樹 山際 大志郎 林 良博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1087-1091, s・iii, 1999-10
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

350年以上生態学的に隔離された可能性をもつ,皇居産のアズマモグラ集団の形態学的,および分子遺伝学的特質を把握するため,頭骨の骨計測学的検討を進め,ミトコンドリアDNAのチトクロームbおよび12SrRNA遺伝子の塩基配列を明らかにし,他のアズマモグラ集団およびサドモグラと比較した.頭骨の形態において,皇居産は,ほかの関東地区集団と比較して,大きなサイズをもつことが明らかになった.主成分分析においては,皇居集団が,関東地方産アズマモグラの大型タイプとして,ひとつのクラスターをつくる可能性が示された.しかし,これはアズマモグラの種内変異以上の分離ではないことが推測された.一方,皇居集団は,東京都日野市集団との間に,チトクロームb遺伝子の塩基配列においては98.5%,12SrRNA遺伝子では98.7%という高いホモロジーを示した.
著者
青木 美香 桑村 充 小谷 猛夫 片本 宏 久保 喜平 野村 紘一 佐々木 伸雄 大橋 文人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.1087-1091, s・vii, 1998-10
参考文献数
30
被引用文献数
4

イヌの正常および腫瘍細胞に対するリコンビナントヒト腫瘍壊死因子α(rh-TNF-α)とアクチノマイシンD(ACT-D)による細胞障害性を調べた.rh-TNF-αは, 継代培養細胞であるイヌ腎癌細胞に対して濃度依存的に細胞障害性と細胞増殖抑制効果を示した.初代培養されたイヌの正常細胞に対する, rh-TNF-αのみによる細胞障害性はわずかであった.しかし, ACT-Dとの併用により, 正常な腎髄質, 脾臓, 心筋, 肺の細胞で細胞障害性が認められた.自然発生のイヌの腫瘍細胞に対するrh-TNF-αとACT-Dのin vitroにおける細胞障害性を調べたところ, 60%に感受性が認められた.特に, 乳腺の混合腫瘍と肛門周囲腺腫では, 実験に用いたすべての腫瘍で細胞障害性が認められた.今回の実験では, rh-TNF-αとACT-Dはイヌのある種の自然発生の腫瘍細胞に対してin vitroで細胞障害性活性を有することが示された.
著者
森岡 一樹 深井 克彦 大橋 誠一 坂本 研一 津田 知幸 吉田 和生
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.653-658, 2008-07-25
被引用文献数
1 8

口蹄疫ウイルスO/JPN/2000株のウイルス中に明らかに異なる2種類のタイプのウイルスが存在していた.一つはブラック形成能の著しく弱いSmall plaque virus(SPV)で,もう一つが大きいプラックを形成するLarge plaque virus(LPV)であった.プラック形成能に相反して一段増殖試験およびCPE形成能においてはSPVの方がやや優れていた.また, O/JPN/2000株に対するモノクローナル抗体を作製し, SPVおよびLPVに対してスクリーニングをおこなった結果,ウイルス中和試験および免疫染色においてSPVのみを識別することができた. SPVおよびLPVの遺伝子解析の結果, VP2の133番目とVP3の56番目のアミノ酸に相違がみられた.それぞれSPVはAsnとArg, LPVはAspとHisであった.乳飲みマウスに対する病原性はLPVのLD_<50>が10^2以下であったのに対しSPVでは10^5以上であった.これらの結果よりSPVの病原性は著しく低いことが推測された.またVP3の56番目アミノ酸に関してHisからArgへの変化は細胞馴化ウイルスで報告されていることから, O/JPN/2000株が典型的な症状を示さなかった一つの要因とも考えられる.
著者
小島 ゆみこ アンナ 小林 修一 トマス ジャビエル アコスタ アヤラ 工藤 眞樹子 宮本 明夫 高木 光博 宮澤 清志 佐藤 邦忠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.119-122, 2002-02-25
被引用文献数
1

Microdialysisシステム(MDS)は, 異なる細胞間の内分泌学的解析を分子レベルで行う方法である.今回, 馬の排卵前卵胞液中プロジェステロン(P_4), エストラジオール17β(E_2), アンドロステンジオン(A_4)とプロスラグランジンF_<2α>(PGF_<2α>)濃度を調べた.卵巣から卵胞を取り出し, ホルモン測定のため卵胞液を採取した.卵胞の大きさを大(30mm<), 中(29〜16mm)および小(15mm>)に区分けして, 各々の卵胞液中のホルモン濃度をEIA法により測定した.卵胞の大きさの違いで, P_4とPGF_<2α>濃度に有意差はなく, (A_4)濃度は大と中の卵胞間で差異を認めた.E_2濃度は, 中卵胞より大卵胞が高値であった.卵胞膜の小片にMDS操作を行い, LHを感作した時にP_4,A_4とPGF_<2α>分泌は増加した.PGF_<2α>を感作した時, P_4とA_4分泌の増加は認められたが, E_2の変動は小さかった.今回の結果から, 排卵前卵胞はLH感作により卵胞膜での黄体化とステロイドホルモン分泌を促進した.さらに, 発情周期のホルモン動態は, 他の動物種と大きく異なることが明らかとなったが, 主席卵胞が選択される機序は十分説明できなかった.
著者
木村 祐哉 原 茂雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.349-352, 2008-04-25
被引用文献数
8

鍼治療のもつ長期的効果の検討のため,犬の自律神経の概日リズムに対して電気鍼刺激がもつ影響について,コサイナー法を用いて評価した.自律神経機能の指標としては心拍変動の周波数解析を用いた.温度,日照時間をコントロールした環境制御室において馴化させたビーグル犬を用い,保定のみの場合,あるいは保定した上で電気鍼刺激を加えた場合の24時間心電図データを求めた.保定のみの場合では15分間保定台にくくりつけるのみとし,電気鍼刺激はその間,脊椎上に存在する2箇所の経穴(GV-5, GV-20)に刺入した鍼を電極として5V, 250μsecの電流を2Hzの頻度で加えた.心電図データからは心拍数および心拍変動の変動係数(CVRR),高周波数成分(HF),低周波数成分/高周波数成分比(LF/HF)を求めた.得られた5頭分のデータによると,心拍数は刺激後に最大となり,その後減少する傾向が見られた.その他の心拍変動の指標では明期に減少し,暗期には次第に増加する傾向が見られた.コサイナー法によると刺激の有無に関わらずいずれの指標も有意な24時間周期を示し,それぞれの周期性を比較すると,交感神経活動の指標とされるLF/HFで水準の上昇(P=0.006)と頂点位相の前進(P=0.012)がみられた.結論として,電気鍼刺激は犬における交感神経の概日リズムを前進させ,またその水準を上げる効果をもつことがわかった.
著者
遠藤 秀紀 佐々木 基樹 成島 悦雄 小宮 輝之 林田 明子 林 良博 STAFFORD Brian J.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.839-843, 2003-08-25
被引用文献数
1 3

ジャイアントパンダの肢端把握時における前腕と手根部の運動を解明するため,遺体を用いて前腕の屈筋と伸筋を機能形態学的に検討した.尺側手根屈筋は発達した2頭をもっていたが,その収縮では尺骨に対する副手根骨の角度が変わることはほとんどないと結論できた.このことは,ジャイアントパンダが物を把握するときに,副手根骨がその把握対象物の支持体として機能していることを示している.また,長第一指外転筋は尺骨と橈骨の双方に発達した起始をもち,前腕の回外筋としても機能していることが明らかとなった.これらの結果から,ジャイアントパンダが橈側種子骨と副手根骨を利用した肢端把握システムを使って食物を口に運ぶ際には,方形回内筋,円回内筋,長第一指外転筋,そして回外筋が,前腕の回内・回外運動に効果的に貢献していることが示唆された.
著者
田中 智久 田上 銀平 山崎 真大 高島 郁夫 迫田 義博 落合 謙爾 梅村 孝司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.607-610, 2008-06-25
被引用文献数
1 2

2005年度冬季に北海道で大量死した野鳥のうちの13羽について,病理検査とインフルエンザ,ウエストナイル両ウイルスの検出を行った.病理検査では全身性の急性循環障害が共通して認められ,ウイルス検出は陰性であった.これら検査結果,冬季限定の発生状況および文献検索から,融雪剤中毒の可能性が高いと考えられた.また,融雪剤を投与した鶏雛は急性経過で死亡し,野鳥と類似の病変を示した.鶏雛で血漿Na濃度の上昇があったことから,野鳥の死因の確定には罹患症例の電解質検査が必要と考えられた.
著者
杉山 広 森嶋 康之 亀岡 洋祐 荒川 京子 川中 正憲
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.927-931, 2004-08-25
被引用文献数
4

関東地方における大平肺吸虫陽性カニの検出は,千葉県内を流れて太平洋に注ぐ河川に限られていた.そこで埼玉県・東京都を流れて東京湾に注ぐ荒川を選び,下流にある東京都の7つの区に12の調査地区を定めて,カニの採集と肺吸虫の検出を試みた.その結果,検査したクロベンケイガニ922匹のうち177匹(19%)から肺吸虫メタセルカリアが検出された.寄生率は葛飾区四ツ木地区が最多(89%)で,陽性カニ1匹当たりのメタセルカリアの平均寄生数(32.9個),および最大寄生数(190個)も最多を示した.メタセルカリアは楕円形を呈するものが大部分で,大きさ(内嚢の外径)は302μm×232μm(50個の平均値),口吸盤背縁に穿棘を,体肉内に赤色顆粒を認めた.試験感染ラットから得た成虫は,卵巣が複雑に分岐し,皮棘は群生していた.このようなメタセルカリアと成虫の形態学的特徴から,虫体を大平肺吸虫と同定した.メタセルカリアを検索材材料として得たリボソームDNA・ITS2領域の塩基配列からも,この結論が支持された.カニからの大平肺吸虫メタセルカリアの検出は,東京都ではこれが初めての報告となる.
著者
二宮 博義 猪股 智夫 白水 博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1491-1495, 2004-12-25
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

ツチクジラ(5頭,成獣)の肺の血管系を組織学的および血管樹脂鋳型標本を作製して走査型電子顕微鏡で観察した.肺胞は厚く,結合組織を挟むようにして両面の肺胞毛細血管網で構成されていた.この二重の肺胞毛細血管網は肺胞管および肺胞中隔に常時認められた.末端の肺胞では,しばしば毛細血管網が一層であった.肺胞毛細血管は肺胞の末端に近づくにつれ,互いに融合して,二重の毛細血管網が次第に失われ,末端の肺胞では一層になる傾向が見られた.細静脈では膠原繊維がリング状に血管内皮下を走っており,樹脂鋳型では30〜100μm間隔のリング状の溝として観察された.最初の静脈弁は肺胞毛細血管が集合する集合細静脈に見られた.この静脈弁はフラップ様,漏斗状,煙突状の構造で,きわめて特徴的であった.
著者
Putranto Heri Dwi 楠田 哲士 稲垣 佳代 熊谷 岳 石井(田村) 理恵 氏家 陽子 土井 守
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.569-571, 2007-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

アムールトラ雌2頭と雄1頭から糞を採取し,凍結乾燥後にメタノールでステロイドホルモンを抽出し,ETA法により糞中含量を測定した.雌のエストラジオール-17βと雄のテストステロン値は,年間を通しで顕著に変動した.雌2個体のエストラジオール-17βはそれぞれ26.4±8.0と28.0±14.2日間隔で上昇した.しかし,プロジェステロンは単独飼育した雌では変動せず,雄と同居させた雌では交尾後増加し,妊娠した1例で最終交尾から106日後に出産するまで高い値が維持されていた.
著者
山田 英一 住吉 浩 山我 義則 岡本 芳晴
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.669-674, 2006-07-25
参考文献数
16
被引用文献数
1 5

犬猫におけるレーザー腸管溶接法を開発した.腸管は本実験用に開発した有窓式鉗子(LW鉗子)ではさみ,2種類の接触型プローブ(先端鈍:レーザー・バイポーラ・デセクター(LBD),先端鋭:スーパー・スカルペル・デセクター(SSD))を用いてLW鉗子の有窓部よりレーザーを照射し,腸管を溶接・切離した.半導体レーザー出力と溶接力の結果より,LBDを用いた場合の至適条件は犬猫ともに回腸では6〜10W,結腸では8〜10Wであった.また,SSDにおいては大の回腸では6〜8W,結腸では8〜10Wであった.一方,猫の回腸では10W,結腸では6〜8Wであった.さらにLBD,SSDともに回腸と結腸の間に溶接力の大きな差は見られなかった.有意差は認められなかったが,同一出力ではLBDの方が溶接力が強い傾向にあった.組織学的に,溶接部は完全に接合されていることが確認された.以上のことより,犬および猫の回腸または結腸のレーザー溶接は,LW鉗子を用い,LBDまたはSSDプローブで半導体レーザーを約8W,50-80秒(400-640J/cm)の条件で行えることがあきらかとなり,生体にも十分臨床応用できるものと思われた.
著者
Won Dong-Sun Park Chul In Young-Joo PARK Hee-Myung
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.551-553, 2004-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
6

3ヵ月齢のメスのシベリアトラが,後肢運動失調を主訴として建国大学獣医学教育病院に来院した.患畜は離乳後牛肉のみを給餌されており,カルシウム剤やビタミン剤は与えられていなかった.その症状は運動失調と,触診による後躯の疼痛であった.さらに,歩行異常,体動嫌悪,また神経学的検査により反射運動低下がみられた.レントゲンのラテラル像およびV-D像で腰仙骨の骨軟化性変化が観察された.PTHレベルは,猫のそれと比較して,上昇が認められた.以上の所見から本症例は栄養性二次性上皮小体機能亢進症と診断された.患畜の症状はビタミンDおよびカルシウム投与後,改善された.すなわち本症例は,カルシウムとリンの音量が不均衡な肉食で飼育された野生動物に発生した栄養性上皮小体機能亢進症である.
著者
桑村 充 井手 美佳 山手 丈至 白石 佳子 小谷 猛夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.1117-1119, 2006-10-25
被引用文献数
1 16

4歳齢の柴犬が,原因不明の疼痛があり触ると過敏に痛がるとの主訴にて来院した.7日後,運動失調,後肢の脚弱とナックリングが認められ,第20病日に死亡した.剖検では胸椎に腫瘤が認められ,全身のリンパ節,腎,膵,脾,前立腺,甲状腺,心に白色斑が見られた.組織学的に,腫瘤は肉芽腫性炎症からなっており,抗Candida albicans抗体陽性の真菌が認められた.
著者
佐藤 雪太 萩原 未央 山口 剛士 湯川 眞嘉 村田 浩一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.55-59, 2007-01-25
被引用文献数
3 11

日本の野鳥に感染が見られたロイコチトゾーン(Leucocytozoon spp.)の分子系統関係の解析を試みた.血液塗沫観察によりロイコテトゾーン感染を確認した北アルプス立山および爺ヶ岳に生息するライチョウ9個体および兵庫県内で保護された野鳥7種13個体(ハシブトガラス4羽,ハシボソガラス2羽,コノハズク2羽,ヤマドリ1羽,イカル1羽,ホンドフクロウ1羽,ヒヨドリ2羽),計22個体の血液からDNAを抽出した.次いでロイコチトゾーンのミトコンドリアチトクロームb(cytb)の部分塩基配列に基づきプライマーを設計し,nested PCRで特異的増幅を試み,増幅産物のシーケンスを決定して配列比較を行った.その結果,ライチョウ9個体すべて(100%),その他の野鳥(ハシブトガラス,ハシボソガラス,イカル,ヒヨドリおよびコノハズク)13個体中11個体(84.6%)でPCR増幅が見られた.増幅されたcytb部分塩基配列約465bpを用いて系統樹を構築したところ,ライチョウと他鳥種寄生のロイコテトゾーンとの間で大きく分岐した.本研究は,日本における野鳥寄生ロイコチトゾーンを分子系統学的に解析した初めての報告である.
著者
和田 成一 倉林 秀光 小林 泰彦 舟山 知夫 夏堀 雅宏 山本 和夫 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.471-477, 2003-04-25
被引用文献数
2 15

三種類の細胞, CHO-K1, HMV-IIおよびL5178Yを用いてγ線照射によるDNA損傷と細胞死との関係を調べた.細胞の生存率はクローン形成法によって求められた.放射線照射によるDNA鎖切断とその再結合はアルカリ及び中性コメット法で測定された.三種類の細胞の中ではL5178Yが最も放射線感受性で,CHO-K1とHMV-IIは放射線抵抗性であった.これらの細胞の放射線感受性(2Gy照射時の生存率)と,アルカリ条件下での単位線量あたりの初期DNA損傷生成率の間には負の関係が認められた.一般に細胞の放射線感受性に関連すると考えられているDNA二本鎖切断の単位線量あたりの残存量(照射4時間後)と放射線感受性との間にも負の関係が認められた.今回用いた分析条件では,DNA初期損傷の評価にはアルカリ条件が,残存損傷の評価には中性条件が適することが分かった.今回用いたコメット法は,放射線によるDNA損傷を検出する他の方法よりも簡便で迅速であるので,放射線感受性を予測する方法として有用であると思われる.
著者
丸山 総一 平賀 慎也 横山 栄二 直井 昌之 鶴岡 祐二 小倉 吉洋 田村 勝利 灘波 信一 亀山 やすひこ 中村 悟 勝部 泰次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.997-1000, 1998-09
被引用文献数
11 28

1994年5月から1995年6月にかけて, 神奈川県および埼玉県の7ヵ所の動物病院より採取した総計471検体の飼育猫の血清について, B.henselaeとT.gondiiの感染状況を調査した.さらに, これらの中の無作為に抽出した67頭の猫について, 猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体ならびに猫白血病ウイルス(FeLV)抗原の検索を行った.B.henselae抗体価は間接蛍光抗体法で, T.gondii, FIV抗体ならびにFeLV抗原は市販のキットを用いて測定した.調査した猫のうち, 43頭(9.1%)がB.henselaeに対し, 41頭(8.7%)がT.gondiiに対する抗体を保有していた.B.henselaeに対する雄猫の抗体陽性率は12.9%と雌猫の5.2%に比べ有意に高い値を示した(p<0.01).一方、T.gondii抗体陽性率は雄猫の9.1%, 雌猫の8.7%で有意な差は見られなかった.各病院ごとの猫のB.henselae抗体陽性率は0〜19.5%, T.gondii抗体陽性率は4.0〜18.8%であった.B.henselaeおよびT.gondii抗体陽性の猫は1歳以下〜14歳まで見られ, T.gondii抗体陽性率は年齢とともに上昇する傾向が見られた.無作為抽出した67頭の猫血清のうち, 16頭(23.8%)がFIV抗体を6頭(8.9%)がFeLV抗原をそれぞれ保有していたが, これらとB.henselaeの陽性率との間に関連性は認められなかった.
著者
猪熊 壽 大野 耕一 山本 静雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1153-1155, s・vi, 1999-10
被引用文献数
3 33

山口大学家畜病院に来院した犬430頭を対象にEhrlichia canisおよびHepatozoon canis抗体保有状況を調査するとともに,感染に関連する要因(年齢,性,品種,屋外室内飼育,住所)を解析した.E.canisおよびH.canis抗体陽性率はそれぞれ4.7と4.2%であった.両抗体とも性および年齢別の陽性率には差が認められなかったが,高い陽性率を示す市町が存在した.また屋外飼育の犬は室内飼育のものに比べて陽性率が高かった.さらにE.canisではビーグル,ゴールデン・レトリバー,ポインター,またH.canisについては秋田,柴,ビーグル,ポインター,雑種といった品種で陽性率が高い傾向がみられた.
著者
白井 明志 有嶋 和義 政岡 俊夫 高木 博隆 山本 雅子 江口 保暢 赤堀 文昭
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.413-414, 1994-04-15
被引用文献数
1

ラット胎子動脈管に対するパラコート(PQ)の作用を検索した.PQを25mg/kgの用量で妊娠19〜21日のラットに剖検前3時間に投与した.胎齢19日の午後1時に剖検した胎子では,動脈管の収縮はみられなかったが,胎齢19日の午後4時以降に剖検した胎子では有意な動脈管の収縮がみられた.これらの結果は,PQは胎子動脈管に対して収縮作用をもち,その収縮の臨界期は胎齢19日の前半であることを示すものである.