著者
田代 睦聡 伊東 恭佑
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.220-223, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
10

シングルフォトンアバランシェダイオード(SPAD)は,フォトンカウンティングを実現するデバイスとして長年研究されてきた.最近,直接Time-of-Flight方式で自動運転および先進運転支援システムの実現に向けて,物体との距離測定,交差点の認識,路面状況把握などのためLiDAR(Light Detection And Ranging)センサ開発が数多く行われている.本稿では,90nm CMOS互換プロセスを使用し,金属埋め込み型のフルトレンチアイソレーションとCu-Cu接続を備えた,最先端の裏面照射型10µmピッチSPADアレイセンサについて報告する.7µmの厚さのシリコン層,SPAD内で同時に設計されたアバランシェ領域と光電変換領域,および専用プロセスにより905nmの波長で22%を超える高い光子検出率,および超低ダークカウントレートを実現した.本センサを用いた実証実験用SPAD LiDARシステムでは,117kluxの太陽光条件で200m先の95%反射率のターゲットを距離測定誤差0.1%で測距可能なことを実証した.