著者
川島 啓 内山 洋司 伊東 慶四郎
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.16-29, 2000 (Released:2015-06-30)
被引用文献数
4 4

近年,地球規模の環境問題への意識の高まりから,経済活動に伴う環境負荷やエネルギー消費量の定量的評価か盛んに行われている。LCA等の環境影響評価手法は個々の品目や個別の産業を対象としているが,産業聞の波及的影響,一国全体の負荷を定量化するためには産業連関法を用いた定量分析が有効とされている。本研究では過去からの産業連関表を利用して,単位数量当たりのエネルギー消費原単位およびCO2排出原単位を1次的な統計資料の物量データから推計し,時系列比較を行っている。また,こうした原単位をLCAの研究事例と出較している。結果としては,原単位の推移はエネルギー消費原単位,CO2原単位とも長期的に低下傾向にあることがわかり,我が国の技術進歩を生産物の数量当たりの投入量で裏付けることを説明している。原単位のLCA事例との比較では,単位当たりのエネルギー消費量か多くの耐久消費財においてもほぼ近似し,逆行列法を用いたエネルギー消費量推計が詳細な品目分類の分析においても有効な手段であることを示している。