著者
森山 美香 伊東 美佐江
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.5_823-5_836, 2017-12-20 (Released:2017-12-27)
参考文献数
95

本研究は,終末期医療に関する法的整備が整っている米国の文献と比較し,日本のクリティカルケア領域のDNARに関する看護実践上の課題を明らかにすることを目的に,文献検討を行った。文献は,「DNAR指示が出される患者の病態・背景」「DNARの意思決定をする家族の状況」「医師によるDNAR指示の判断基準の不明瞭さ」「DNARの意思決定を支援する看護師の認識と看護実践」に分類された。両国ともに事前指示をもつ患者は少なく,クリティカルケア領域における看護実践に違いはなかった。米国ではDNAR指示に関するガイドラインやマニュアルが整備されているが,クリティカルケア看護師はDNARの意味を誤認し,DNAR指示後に治療やケアの差し控えを行っていた。日本ではDNAR指示のマニュアルを整備している施設は少なく,看護師は米国同様にDNARの意味の誤認し,家族へかかわる困難を感じていることが推測された。
著者
大森 美由紀 寺岡 幸子 伊東 美佐江
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.160-173, 2017

本研究の目的は,文献検討により OJT における新人教育で師長が果たす役割を明らかにすることである.「新人」と「教育」と「看護管理者」あるいは「師長」をキーワードとして,2002年1月~2014年9月までの文献を検索した.OJT における新人教育の師長の役割について記載の可能性がある 文献を選択し,最終的に38件の文献を分析対象として文献検討を行った.その結果,「担当部署の教 育方針の決定と周知」,「リアリティショック防止」,「個人の能力に応じた段階的・継続的な教育」,「担 当部署の教育体制の整備」,「専門職業人としての自律促進」,「システムへのフィードバック」の6つ の役割を遂行,および期待されていることが明らかとなった.師長は担当部署の目標を設定し周知し, 新人のリアリティショックを防止するために,組織社会化を促し,新人を尊重する姿勢で接しており, メンタルヘルスを把握しサポートしていた.新人の実践能力を把握しながら個別に応じた指導,能力 に応じた業務分担し,自信をもって前進できるよう支援していた.また,チーム体制や教育体制を整 備しながら,効果的な教育を考えていた.そして,看護の概念化を促し,モデルを示すことによって 専門職業人として自律を促し,新人教育における問題をフィードバックしていた.師長は,新人看護 師が職場に問題なく適応し,看護実践能力を獲得できるようにさまざまな戦略が求められていた.