著者
大月 友 青山 恵加 伊波 みな美 清水 亜子 中野 千尋 宮村 忠伸 杉山 雅彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.131-142, 2006-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究では、アスペルガー障害をもつ不登校中学生に対して、社会的相互作用の改善を目指した社会的スキル訓練(SST)が実施された。対象生徒の社会的相互作用に対して行動分析を行った結果、反応型としての社会的スキルをもっているものの、周囲の刺激を弁別刺激として適切に反応できていないために相互作用として機能していない、と分析された。そこで、他者の刺激に適切に反応することにより、社会的相互作用の改善が可能となると仮説をたて、そのようなスキルを形成することを目的としたSSTを実施した。 SST実施に当たっては、対象生徒が興味をもつような訓練場面(推理ゲーム)を設定し、その中でのやりとりを通して訓練が行われた。その結果、訓練場面における標的行動の生起率が増え、自由場面における社会的相互作用にも改善が確認された。これらの結果から、アセスメントおよび介入の妥当性が考察された。