- 著者
-
吉住 朋晴
伊藤 心二
播本 憲史
原田 昇
長尾 吉泰
赤星 朋比古
前原 喜彦
- 出版者
- 日本門脈圧亢進症学会
- 雑誌
- 日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.4, pp.256-261, 2017 (Released:2020-01-11)
- 参考文献数
- 16
生体肝移植術中脾臓摘出術の効果と影響について検討した.初回成人間生体肝移植を施行した482例を脾臓摘出併施した302例(摘出群)と併施しなかった180例(非摘出群)に分けた.脾臓摘出群で術後14日目の総ビリルビン値は低値,腹水量は少量,プロトロンビン活性は高値であった.術後敗血症と急性拒絶反応の頻度は,脾臓摘出群で低かった.脾臓摘出に起因する術後膵液瘻を26例(5.4%),術後門脈血栓・脾門部断端からの出血を各々5例(1.0%),脾臓摘出後重症感染症を3例に認めた.6か月・10年グラフト生存率は脾臓摘出群では93.4%・73.7%,非摘出群では84.3%・64.9%と脾臓摘出群で有意に良好であった.多変量解析で脾臓摘出非施行とMELD値22以上が,生体肝移植後6か月以内グラフトロスの独立危険因子であった.生体肝移植術中脾臓摘出術により,生体肝移植後グラフト生存率が改善する可能性が示された.