著者
伊藤 敏晃 高木 力 平石 智徳 鈴木 健吾 山本 勝太郎 梨本 勝昭
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-43, 1995-07-31
被引用文献数
2

北海道では、エゾバフンウニやキタムラサキウニなどのウニ類を対象とし、種苗放流や、漁場造成によって資源を増加させようとする栽培漁業が積極的に推進されているが、地域によっては十分な成果が得られていない。その原因として波浪による稚ウニの打ち上げ、餌料の不足や海水交換の不良による死滅があげられる。これを防ぐために比較的静穏な海域に、稚ウニを集約的に放流し、給餌を行って育成する場を造ること、ウニが散逸しないようなフェンスを設けることなどが提案されている。また、ウニの食害による磯焼け現象が進むことも懸念されているため、ウニの行動領域を制限する安価で耐久性のあるフェンスの開発が強く要望されている。このようなウニ用フェンスを開発するためにはまずウニの行動特性を解明する必要がある。ウニの移動は管足先端部を付着基質に吸着させて管足全体を収縮させることによって行われるが、生態・行動学の分野における詳細な研究は少ない。外国産のウニについてはBullockによるアメリカムラサキウニの移動についての報告などがあるが、エゾバフンウニ、キタムラサキウニの行動学的な研究は非常に少ない。