著者
碓井 雅博 大川 真一郎 渡辺 千鶴子 上田 慶二 徳 文子 伊藤 雄二 杉浦 昌也
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.298-306, 1991-05-31 (Released:2010-09-09)
参考文献数
15

1954年RichmanおよびWolffは心電図上肢誘導で左脚ブロック型, 胸部誘導で右脚ブロック型を呈するものを“masquerading”bundle branch block (仮装脚ブロック) と呼んだ.我々は心電図上第I誘導で幅広いRと小さなSを, 第II, III誘導で深く幅広いSを有し, 胸部誘導にて完全右脚ブロックを示す当センターでの剖検例6例 (男4, 女2, 75~93歳) を対象として臨床病理学検討を行った.臨床所見では, 胸部X線上全例に心拡大を認め, 心電図上5例に1度房室ブロックを認めた.病理所見では, 心重量が350g以上の肥大心は5例であり, 陳旧性心筋梗塞を3例 (後壁2, 側壁1) に認めた.刺激伝導系所見では, 右脚と左脚前枝の二束障害を2例に, 右脚と左脚前枝, 同後枝の三束障害を2例に認め, 左脚前枝と同後枝の二束障害が1例であった.「仮装脚ブロック」の発生機序として, 1) 左脚の広範な障害, 2) 後側壁の心筋梗塞による修飾, 3) 著明な心肥大の影響が示唆された.
著者
前田 吉昭 森吉 仁志 伊藤 雄二 藤原 耕二
出版者
慶応義塾大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

1997年から1998年にかけては,次の研究テーマを主題に行なった.(1) 4次元空間のYang-Mills gradient flowと3次元空間のYang-Mills-Higgs gradient flowの研究.(2) 変形量子化問題と非可環幾何学(3) 無限次元空間における無限次元リー群の作用によるオービットの幾何学的性質(1)については,4次元コンパクト多様体のYang-Mills qradient flowについて,チャーン数に近い初期データを与えることでその滑らかな解が大域的に存在することを示した.また,3次元空間のYang-Mills-Higgs qradient flowについては,その弱大域解の存在を与えられることがわかった.(2)については,特に接触多様体の変形量子化問題とそのレダクションの方法について研究を行なった.(3)についてはコンパクト多様体のリーマン計量の空間に作用する微分同型群(無限次元リー群)のオービットに対する平均曲率の定式化とその応用について研究を行なった.これらの研究は萌芽研究として申請した,非可換微分幾何学の構築において基礎となる成果をあげることができた.そして,その成果はこの2年間の間に行なわれた,国内の研究集会,国際研究集会で発表や討議を行ない,これから先に非可換微分幾何学の展開に向けて,大きな成果をあげた.さらなる成果は,近い将来に出版される予定である.