著者
佐々木 千波 平山 和美
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.152-155, 2023-06-30 (Released:2023-07-18)
参考文献数
12

パーキンソン病 (以下, PD) にいくつかの種類の錯視が起こることは知られている。しかし, 患者がどのような種類の錯視をどのような頻度で体験しているのかは明らかでない。我々は, PD 患者 40 名に 19 種類の錯視について症状を伝え, そのような体験があるか否かを尋ね, 具体的な内容を聴取した。 結果, PD 患者 40 名中 30 名が発症後, 質問時までに錯視を体験していた。報告された錯視は, 変形視, 複雑錯視, 変色視, 選択性二重視が多かった。そのほかに, 多視, 大視, 小視, 遠隔視, 近接視, 動視, 失運動視, 加速視, 減速視, 傾斜視, 逆転視, 反復視がみられた。錯視が日常生活に悪影響を与えている場合もあった。PD の診療においては, 錯視の有無, 内容についての系統的な聴取が重要であると考えられた。