- 著者
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半田 康
吉岡 英治
佐々木 成子
岸 玲子
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2010
食肉中のエストロゲン濃度について、日本産とフィリピン産、アメリカ産の牛肉、鶏肉を対象として国別に比較を行った。エストラジオール濃度、エストロン濃度ともに牛肉ではアメリカ産、フィリピン産、日本産の順に高濃度で、鶏肉ではアメリカ産、日本産、フィリピン産の順に最も高濃度だった。フィリピン産牛肉の脂肪部位のエスラジオール濃度は日本産よりも8倍高濃度で、日本産鶏肉の脂肪部位のエストロン濃度はフィリピン産の鶏肉よりも12倍高濃度だった。これらの違いは外的に投与されたホルモン剤の残留によると考えられた。ヒトの脂肪組織中エストロゲン濃度の比較は日本とフィリピンの2カ国で行った。閉経後女性の皮下脂肪中のエストロン濃度、エストラジオール濃度は、フィリピン人女性(n=6)が日本人女性(n=15)よりも高濃度であった。食事頻度調査においては、日本、フィリピンの2国間で食肉摂取の違いが見られた。このヒトの皮下脂肪中エストロゲン濃度の違いは、食肉中エストロゲン濃度、食事頻度調査のみからは説明が困難で、症例数が少ないためBMIの違いを補正できないことに起因する可能性を否定できなかった。本研究では、ホルモン剤使用食肉の摂取とヒト組織中エストロゲン蓄積との関連、ホルモン依存性癌の発生率の関連について、結論を出すことはできなかった。今後、ヒトの検体数を増やして再度検討を行う必要がある。