著者
佐々木 祐輔 久世 均
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.34-37, 2011-08-20

平成23年3月11日(金)14時46分に発生した,東日本大震災に関する「震災デジタル・アーカイブ」を事例として,震災情報の記録・収集・保存の問題を考察した.戦後の地域資料のデジタル・アーカイブの展開の中では,歴史的資料から地域の生活に密着した現代資料へという流れがあるが,1990年代末以降現われるようになったデジタル・アーカイブの動きは今のところ歴史的・郷土誌的資料にとどまっている.また,多くのデジタル・アーカイブズでは情報の蓄積・検索方式に対する考慮が稀薄で,検索システムを備えているものは多くない.今回の東日本大震災で進められている「震災デジタル・アーカイブ」の多くのは,大量でかつ多様性に富んだ現代資料のデジタル化という点て,現時点では他にほとんど例のないものであるが,主にメタ情報(二次情報)構築における標準化がとられてないことから,独自性の強い組織化手法という現状がある.まず,今回の「震災デジタル・アーカイブ」の現状と収集資料の特色,「震災デジタル・アーカイブ」のメタ情報とその課題について述べる.