著者
佐々木 空美 長松 康子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.25-32, 2008-03
被引用文献数
2

【序論】在日外国人は200万人を超え,医療面での対応が急務とされている。インターネットは安価で簡単に情報を得ることができる。そこで本研究では,自治体のホームページの外国人向け医療情報の提供状況を明らかにすることを目的とした。【方法】2000年度国勢調査において,外国人人口が1万人を超える17自治体を対象とし,そのホームページを,使用外国語・情報量・操作しやすさの3点で評価した。さらに,外国人人口,外国人割合,連携機関の有無についての関連を調べた。【結果】17すべての自治体がホームページを有していた。予算が多く,外国人が多い自治体ほど情報量が豊富で,外国人割合の多い自治体ほど外国版ホームページは操作しやすい傾向があった。使用している外国語は,英語が最も多く,次いで韓国語,中国語,ポルトガル語であった。13件(76%)が外国語の医療情報を掲載し,医療サービスシステム,日本の保険制度,母子保健等の情報を載せていた。外国語のできるスタッフのいる医療機関や電話による外国語医療相談を紹介する自治体もあった。【考察】人口の多い外国語については概ねホームページの外国語に取り入れられていた。しかし人口が多いにもかかわらずタイ語を用いているホームベージがないことは問題である。外国人人口の多い自治体ほど外国版医療情報が充実していたのは,ニーズに対応した結果と思われる。【結論】すべての自治体がホームページを有し,76%が外国語医療情報を提供していた。