著者
佐々木 茜 岡田 裕樹 水藤 昌彦 大村 美保 遅塚 昭彦
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.49-68, 2023 (Released:2023-11-21)
参考文献数
4

地域生活定着支援センターのフォローアップ業務について,福祉施設等に入所した者のフォローアップ期間の長期化が課題となっている.本研究では,高齢・障害各領域の入所施設等および相談支援機関を対象として,地域生活定着支援センターのフォローアップ業務に関する実態と課題についてヒアリング調査を実施した.その結果,①地域定着支援センターが,福祉施設に対して支援の依頼を行う際に,自らのフォローアップ業務の期限について明示しないことから,福祉施設は地域生活定着支援センターに対して「何かあった時にいつでも相談できる」と理解していること,②地域の社会資源や支援対象者の個別的な特性により,地域生活定着支援センターが直接的な支援を担わざるを得ない面があることが長期化の要因であることが分かった.本研究では,長期化しているフォローアップ業務の課題を解消することを「適正化」と位置づけ,適正化については①フォローアップ業務の整理,②地域生活定着支援センターと福祉サービス事業所間フォローアップ概念の一致,③支援経験のある福祉サービス事業所同士による支援ネットワーク構築が重要と考えられた.
著者
黒岩 利生 佐々木 茜
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-7, 2023 (Released:2023-11-21)
参考文献数
5

強度行動障害のある方の中には,通常食べられないものを口にする「異食」が見られる人がいる.本研究は,異食の発生要因を把握し以後の発生予防方法を検討するため,A園で発生した強度行動障害のある方の異食事故の検証を行った.異食事故に携わった経験のある職員を対象としたヒアリング調査の結果,異食の発生要因は①不満・ストレス,②注意喚起・要求,③周期的な変化,④予測困難に分類された.対象者の所属寮では事前の情報収集や日常生活の観察を通し情報を集約した上で応用行動分析を用いて異食の要因を分析し,要因に応じた支援を行っていた.異食は身体的合併症のほか,生活の場の選択への影響もみられる緊急性の高い行動だが,異食の可能性のある物をすべて排除するのではなく,QOL向上の視点を持って発生要因に応じた支援を行うことが重要と考えられた.