- 著者
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青木 周司
菅原 敏
佐伯 田鶴
中澤 高清
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2001
人間活動によって大気に放出された二酸化炭素が陸上生物圏と海洋にどのくらい吸収されているかを定量的に評価するために、二酸化炭素濃度と炭素同位体を組み合わせて解析する方法と、酸素濃度と二酸化炭素濃度を組み合わせて解析する方法を実施した。まず二酸化炭素濃度と炭素同位体を組み合わせて解析することによって得られた人為起源二酸化炭素の陸上生物圏と海洋による吸収量を1984-2000年の期間について評価した。その結果二酸化炭素吸収は、陸上生物圏について1.21GtC/yr、海洋について1.59GtC/yrとなり、観測期間全体を平均すると陸上生物圏も海洋も二酸化炭素の吸収源となっていたことが明らかになった。これらの吸収源の強度は年々変動しており、特に陸上生物圏による吸収がエルニーニョ現象や火山噴火による異常気象の影響を強く受けて変化することが明らかになった。一方、酸素濃度と二酸化炭素濃度を組み合わせることによって評価した1999-2003年の二酸化炭素吸収は、陸上生物圏について1.1±1.0GtC/yr、海洋について2.0±0.6GtC/yrと見積ることができた。2つの独立した研究から得られた成果を観測期間がほぼ重なっている時期について比較した。陸上生物圏による二酸化炭素吸収量は、二酸化炭素濃度と炭素同位体から得られた1994-2000年の値が0.90GtC/yrであり、酸素濃度と二酸化炭素濃度から得られた値が1.1±1.0GtC/yrと評価された。また、海洋による二酸化炭素吸収量は、二酸化炭素濃度と炭素同位体から得られた1994-2000年の値が1.73GtC/yrであり、酸素濃度と二酸化炭素濃度から得られた値が2.0±0.6GtC/yrと評価された。2種類の全く異なった研究方法によって得られた結果が良く一致しているため、本研究によって信頼性の高い結果が得られたと考えられる。