著者
佐川 享平
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

【研究目的】本研究は、日本炭鉱労働史の民衆史的検討を目的とする。より具体的には、記録作家である上野英信が残した「筑豊文庫資料」の調査・整理・分析を通じて、戦前から戦後に至る時期の炭鉱(労働)史を、民衆史的・社会史的視座から把握すべく構想されたものである。【研究実施計画】本研究では、(1)直方市が所蔵する「筑豊文庫資料」の調査・整理作業、ならびに、(1)の成果に基づく、(2)日本炭鉱労働史の民衆史的視座からの再構成、(3)資料論的アプローチに基づく上野英信の再評価、という3つの課題を設定し、課題(1)・(2)を〈基幹的研究〉として、課題(3)を〈発展的研究〉に位置づけている。本年度はこのうち、〈基幹的研究〉の課題(1)を継続的に実施した。【研究成果】本年度は、直方市と継続的に協議する場を設け、「筑豊文庫資料」の整理方法や方針について検討を行い、作業の手順や方針についての覚書を取り交わすとともに、資料整理の準備作業を進めた。また、課題(1)の一環として、「筑豊文庫資料」に含まれる音声テープ資料(主として炭鉱関係者に対するインタビュー)について、オープンリールから媒体変換された音声データの提供を受け、その一部の文字起こしを行い、資料の内容把握を行った。加えて、上野英信と「筑豊文庫資料」の関係者・関係機関への調査も行い、「筑豊文庫資料」の性格や来歴の確認に努めたが、これは次年度以降に取り組む課題(2)・(3)の前提ともなる作業である。