- 著者
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渡辺 明夫
百目木 幸枝
軸丸 裕介
笠原 博幸
神谷 勇治
佐藤 奈美子
高橋 秀和
櫻井 健二
赤木 宏守
- 出版者
- 日本植物生理学会
- 雑誌
- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第52回日本植物生理学会年会要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.0053, 2011 (Released:2011-12-02)
多くの植物種では頂芽の成長が優先され側芽の成長が抑えられる頂芽優勢と呼ばれる機構が働き、全体の草型が制御される。私たちは主茎や側枝が長期間伸長を続け、最終的に鳥の巣のような姿となるシロイヌナズナ変異体を見いだした。解析の結果、この独特の草姿は、全ての枝の茎が頂芽優勢による抑制をのがれ長期間伸長を続けることに主な原因があり、一枝当りの分枝数は極端には増加していないことが分かった。頂芽優勢を免れて全ての茎が伸長を続ける表現型は単一の劣性変異に起因していたため、この原因変異をnoah (no apical dominance in branch hierarchy)と名付け、noah変異体の特異な草姿形成機構の解明を試みた。 主茎や側枝の伸長を詳細に調べた結果、WTの茎では茎頂から約1.5 cmほど下部を中心に幅広い領域が伸長していたのに対し、noah変異体の茎では茎頂から約0.5 cm以内の狭い領域のみが伸長していた。茎の細胞伸長が茎中を極性輸送されるオーキシンにより引き起こされると考えると、上記の結果は変異体の茎中のオーキシン分布が著しく変化していることを意味していた。そこでオーキシン濃度を詳細に測定した結果、変異体の茎のオーキシン分布はWTのものと著しく異なっていた。このため、noah変異体では茎中のオーキシンの極性輸送が著しく撹乱されていることが推察された。