著者
笠原 博幸
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.477-482, 2017-06-20 (Released:2018-06-20)
参考文献数
22

オーキシンは植物の形態形成や環境応答を制御する非常に重要な植物ホルモンである.近年,代表的なオーキシンであるインドール-3-酢酸の主要な生合成経路がシロイヌナズナにおいて解明され,さらに蘚苔類を含む広範な陸上植物にもこの経路が保存されていることが明らかになった.これまでオーキシンは茎頂周辺の若い組織で作られて葉や根に移動すると考えられてきたが,実際には葉や根などのさまざまな器官・組織でも合成されていることがわかってきた.本稿では,オーキシンの濃度調節機構に関する最近の研究動向について解説する.
著者
笠原 博幸
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.524-526, 2011-11-25 (Released:2012-11-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
笠原 博幸 下津 克己
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.451-470, 2015-03-26 (Released:2016-02-12)
参考文献数
43

動的離散選択モデルを用いた計量経済分析では,観測されない異質性を適切に扱うことは重要な課題である.有限混合モデルは観測されない異質性を柔軟に扱うことが可能なため,多くの動的離散選択モデルを用いた実証研究において使用されてきた.しかしながら,近年までは,有限混合モデルを用いた動的離散選択モデルのノンパラメトリック識別の可能性に関しては,研究成果が乏しかったこともあり,否定的な見解が一般的であった.本論文では,Kasahara and Shimotsu (2009, 2014a)の内容をレビューし,有限混合モデルを用いた動的離散選択モデルのノンパラメトリック識別を可能とする比較的現実的な(時系列の長さ・定常性・一次マルコフ性などの)十分条件を紹介する.また,有限混合モデルにおける要素数の下限値の識別条件とその推定方法に関しても議論する.
著者
渡辺 明夫 百目木 幸枝 軸丸 裕介 笠原 博幸 神谷 勇治 佐藤 奈美子 高橋 秀和 櫻井 健二 赤木 宏守
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第52回日本植物生理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
pp.0053, 2011 (Released:2011-12-02)

多くの植物種では頂芽の成長が優先され側芽の成長が抑えられる頂芽優勢と呼ばれる機構が働き、全体の草型が制御される。私たちは主茎や側枝が長期間伸長を続け、最終的に鳥の巣のような姿となるシロイヌナズナ変異体を見いだした。解析の結果、この独特の草姿は、全ての枝の茎が頂芽優勢による抑制をのがれ長期間伸長を続けることに主な原因があり、一枝当りの分枝数は極端には増加していないことが分かった。頂芽優勢を免れて全ての茎が伸長を続ける表現型は単一の劣性変異に起因していたため、この原因変異をnoah (no apical dominance in branch hierarchy)と名付け、noah変異体の特異な草姿形成機構の解明を試みた。 主茎や側枝の伸長を詳細に調べた結果、WTの茎では茎頂から約1.5 cmほど下部を中心に幅広い領域が伸長していたのに対し、noah変異体の茎では茎頂から約0.5 cm以内の狭い領域のみが伸長していた。茎の細胞伸長が茎中を極性輸送されるオーキシンにより引き起こされると考えると、上記の結果は変異体の茎中のオーキシン分布が著しく変化していることを意味していた。そこでオーキシン濃度を詳細に測定した結果、変異体の茎のオーキシン分布はWTのものと著しく異なっていた。このため、noah変異体では茎中のオーキシンの極性輸送が著しく撹乱されていることが推察された。