著者
村田 弥栄子 相馬 淳 鈴木 健弘 宮田 正弘 中山 恵輔 城田 裕子 佐藤 博 佐藤 寿伸 伊藤 貞嘉
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.67-71, 2003-01-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
10

症例は26歳男性. 1998年11月, 海外でのハーフマラソンに出場し熱中症を生じて, 横紋筋融解症による急性腎不全を合併した. 現地にて2回の血液透析施行後帰国. 空港近くの高次救命救急センターに収容され血液透析を受け, 2日後当院へ転入院した. 当院入院時, 依然乏尿状態にあり, BUN 104mg/dL, Cr 8.1mg/dL, CPK 2,128IU/L, 血中ミオグロビン11,700ng/mLであったためさらに3回の血液濾過透析を行った. その後利尿期 (回復期) に至ったが, 高カルシウム血症 (血清Ca 16.2mg/dL) が出現した. 高カルシウム血症に対し, prednisolone (40mg/日静脈内投与), elcatonin (40単位筋肉注射) と生理食塩水の補液の投与を行ったところ10日後には血清カルシウム値 (血清Ca 10.1mg/dL) は正常化した. これまでの本邦での報告例は少ないが, 横紋筋融解症による急性腎不全の利尿期に時として高カルシウム血症を生じることがあり, 十分な注意が必要である.