著者
佐藤 峰南 尾上 哲治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.10, pp.575-578, 2010 (Released:2011-02-01)
参考文献数
17
被引用文献数
5 10

The magnetic fraction of a lower Norian claystone layer (ca. 5 cm thick) in a radiolarian chert succession within the Mino Terrane, Inuyama area, Central Japan, contains a large number of small euhedral to subhedral crystals of oxidized Ni-rich spinels. The stratigraphic position of this concentration of Ni-rich spinels is clearly indicated by a sharp increase in magnetic susceptibility at the claystone layer. These spinels are distinguished from typical igneous spinels by their high Ni and Fe3+ contents, and show large variations in composition. The textures and chemical compositions of the spinel crystals are similar to those of Ni-rich spinels at the Cretaceous-Paleogene boundary. The discovery of Ni-rich spinels in a lower Norian claystone suggests an important sedimentary record of an extraterrestrial impact in the Late Triassic.
著者
佐藤 峰南
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.983-993, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
72
被引用文献数
1

地球科学の最も重要な発見のひとつである白亜紀/古第三紀(K/Pg)境界の白金族元素の異常濃集が報告されてから30年以上が経過した.それ以降,世界中のK/Pg境界層から白金族元素の異常濃集が検出されている.日本の付加体である三畳紀-ジュラ紀の層状チャートは,非常に遅い堆積速度(1000年で数mm以下)をもつ遠洋性深海堆積物であり,大陸起源物質の混入が少ないという特徴を持つ.層状チャートは,堆積速度が遅く,連続的な堆積物であることから,層状チャート中には地質時代を超えた地球外起源物質付加の記録が残されている.本稿では,日本の遠洋性堆積物中に保存された後期三畳紀の巨大隕石衝突による地球外起源物質の流入履歴について,地球化学データを用いてレビューした.層状チャート中の白金族元素およびオスミウム同位体の地球化学データは,隕石のタイプや種類を推定する上で非常に有用な情報を提供する.
著者
佐藤 峰南
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

1. 主要元素および微量元素組成分析:これまでの研究により,三畳紀後期遠洋性堆積物中に隕石衝突の痕跡が記録されていることが明らかとなった(Onoue, Sato et al., 2012; Sato et al., 2013).そこで,三畳紀後期隕石衝突よって引き起こされた可能性のある古海洋環境変動を明らかにするため,隕石衝突層準およびその上下の層状チャートを1枚ずつ採取し,主要元素および微量元素濃度の測定を東京大学工学部にて行った.その結果,生物生産に関する示すシリカ(Si), カルシウム(Ca)ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba)の濃度が,イジェクタ層の直上で急激に低下していることが明らかとなった.同様の結果は,白亜紀/古第三紀(K/Pg)境界でも報告されており,隕石衝突による海洋環境の変化に伴う石灰質・珪質プランクトンの生産性の低下を示している可能性が示唆された.2. 論文執筆:これまで見つかっている日本の遠洋性堆積物中に記録された4セクションのイジェクタ層を用いて,白金/イリジウム(Pt/Ir)比,ルテニウム/イリジウム(Ru/Ir)比,クロム/イリジウム(Cr/Ir)比から,三畳紀後期隕石衝突の衝突隕石の種類がコンドライト隕石であるとする論文を執筆し,投稿準備中である.3. 国内外における研究成果発表:AGU fall meeting(サンフランシスコ)および日本地球惑星科学連合大会(千葉),日本地質学会(鹿児島)において,三畳紀後期隕石衝突による海洋環境の変動の可能性について,研究成果を発表した.