著者
佐藤 忠文
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.187-203, 2019-12-31 (Released:2020-01-18)
参考文献数
36

本研究では,自治体が広報活動で使用する広報写真について,情報資源化へ向けた課題を考察する。近年,オープンデータや文化情報資源に対する関心が高まるが,資源としての広報写真の現状はこれまで明らかにされていない。そこで本研究では,まず広報写真の性質を論じ,行政広報論の視点のもと広報写真家の言説に着目,そこから広報写真の共通構造を導出した。次に,それをもとに情報資源化の問題点について仮説を構築し,自治体に対し質問紙調査を行いその現状を明らかにした。最後に,調査結果をもとに課題を考察した。研究の結果,広報写真は,効率的な内容理解と行動変容を促す創造的な視覚媒体と言え,広報目的の達成に向けて,確実性,共感性,倫理性,記録性からなる共通構造を持つと考えられた。そして質問紙調査から,①撮影・管理,②アーカイブ,③二次利用の状況が明らかになった。そのうえで,①の課題として,撮影量に対応可能な効率的なメタデータ管理方法と柔軟な権利処理手続きの開発,②の課題として,広報写真の文脈までを保存し管理の煩雑さに対応可能なアーカイブ構築,③の課題として,商用利用を含む利用促進へ向けた利用ルール等の整備が明らかになった。本研究の成果は,主に3点である。従来の言説をまとめ広報写真理解のための理論を構築したこと,これまで明らかにされなかった広報写真の現状を一定明らかにしたこと,そこから情報資源化へ向けた具体的な課題を明らかにしたことである。